研究課題/領域番号 |
19K18411
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研究機関 | 独立行政法人国立病院機構九州医療センター(臨床研究センター) |
研究代表者 |
松尾 諭 独立行政法人国立病院機構九州医療センター(臨床研究センター), その他部局等, 脳神経外科 客員臨床研究員 (80734938)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 脳動脈瘤 / 心電同期3D-CTA / CFD解析 |
研究実績の概要 |
近年、数値流体力学(computational fluid dynamics; CFD)解析を用いて、血流によって生じる脳動脈瘤壁に作用する力学的刺激をシミュレーションすることが可能になり、脳動脈瘤の増大や破裂のメカニズムの解明が進みつつある。しかしながら、脳動脈瘤や血管を鋼体(弾性がない)と仮定して解析されることが多い。そこで、本研究では、心電同期頭部3D-Computed tomography angiography(CTA)を用い一心拍中の脳動脈瘤壁のわずかな形態変化を捉え、脳動脈瘤内の動的血行動態解析を行い、 術中所見(瘤壁の薄さ、動脈硬化、bleb、 破裂点など)に特異的な血行動態の解明および、未破裂脳動脈瘤の破裂に関わる血行動態の特徴の同定を行うことを目的とした。 2019年度の研究実績としては、心電同期3D-CTAのプロトコル構築、およびその運用が挙げられる。ファントムモデルでの条件設定を経て、心電同期CTAのプロトコル作成を行い、被曝量低減に努めプロトコルを確立した(通常の頭部CTAと比較し、おおよそ0.2-0.3mSvの被曝量増加)。 2020年度は年度初めからのコロナ感染症の影響のせいか、症例登録数が伸び悩んだ。対象例は少ないものの、心周期間での動脈瘤の形態変化の解析を行った。 解析に際し、UCAS-Japanを参考に、破裂率が高い群と低い群に別けて比較することを目的に、動脈瘤の大きさ別(5mm以上、5mm未満)と発生部位別の2群間に分けて比較した。結果として、動脈瘤の発生部位別に分けた2群で、破裂リスクが高いと思われる群は、動脈瘤頚部径の心周期間での変化率が有意に大きいことが判明した。2021年度は登録症例数は症例数が回復すると想定していたが昨年度に引き続き症例数が増えなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ感染症の影響による検査入院の減少と思われるが、昨年度に引き続き症例登録が伸び悩んでいる。解析対象が限られるが、解析を進めていく。
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今後の研究の推進方策 |
動脈瘤の部位により動脈瘤形態パラメータの変化に差異があることが判明した。今後は、破裂リスクとの関連を検討していく予定である。また、形態変化が動脈瘤内の血行動態変化および破裂リスクとどのように関連しているかも合わせて検討したい。
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次年度使用額が生じた理由 |
旅費、英文校正料が想定より低額であったため。次年度に使用する予定である。
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