研究課題/領域番号 |
19K18419
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
筒井 泰史 金沢大学, 附属病院, 特任助教 (00722042)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 神経膠腫 / 細胞外小胞 / 微小環境 |
研究実績の概要 |
悪性神経膠腫を治療する上で、腫瘍悪性形質の維持に関わる分子メカニズムの解明が課題である。われわれは悪性形質維持に寄与する微小環境を整備するメカニズムとしてマイクログリアの活性化に着目している。その中でも悪性神経膠腫が分泌するエクソソームを含む細胞外小胞を介したマイクログリアへの影響を解析した。 これまでの研究結果から悪性神経膠腫細胞から分泌される細胞外小胞の量を減少させることで、細胞の腫瘍形成能が有意に抑制されること、またそのメカニズムとして微小環境整備があることをを示している。そこで今回は悪性神経膠腫細胞の細胞外小胞内の内容物の違いにより、標的細胞の活性化に違いが認められるかの検証をおこなった。 マイクログリアに腫瘍細胞由来の細胞外小胞を取り込ませて、そのマイクログリア内の遺伝子発現の変化を網羅的に解析した。そこで血管新生に影響する分子の発現が変化していることを示した。その変化が正常細胞由来の細胞外小胞をマイクログリアに投与しても起こらなかったことから、腫瘍細胞特異的な影響であることが示された。さらにその活性を調整するタンパク質が腫瘍由来細胞外小脳内に含まれることを示すために、その候補分子を文献的に検索し、実際に細胞外小胞に含まれるかどうかを検討し、その分子を同定した。さらに、その含有量の違いによって、それを受け取ったマイクログリア内の発現遺伝子に変化が起こるかを調べるために発現変化細胞を作成し、それを検証した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の予定では悪性神経膠腫の微小環境整備に関与する新たな分子の解明を目的としたが、先行研究結果の検証とそれに伴う追加実験をおこなった。また、COVID-19感染症にともなう規制により研究活動に影響がでており、研究に費やす時間が大幅に減少したため、研究の進捗は当初の予定よりも遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
今年度の結果を踏まえて、来年度には動物実験が必要となると考える。標的分子の発現変化細胞を樹立して、それを用いたin vivo実験をおこなう。実験系については以前もおこなったものであり、問題なく施行できると思われる。さらなる詳細な評価をしたうえで、新規因子の検索をおこなう方針である。
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19感染症の影響で研究活動が制限されたことにより、研究を当初の予定通りに進めることができなかった。
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