研究課題
血管内穿通法によるマウスくも膜下出血モデルにおいて、複数のマトリセルラー蛋白が血液脳関門障害に関与する可能性が明らかになった。それらの合成タンパクや中和抗体を作製し、健常マウスやくも膜下出血マウスの脳室内に定位的に注入することでくも膜下出血後の血液脳関門障害を誘導あるいは抑制できるか検討した。その結果、マトリセルラー蛋白の中でもガレクチン-3、ペリオスチン、secreted protein acidic and rich in cysteineが血液脳関門障害に関わっていることが明らかになった。さらに、三重大学を中心に実施中のくも膜下出血患者の臨床データ・検体を経時的に集積する前向き多施設共同研究で集積したくも膜下出血患者の臨床情報及び経時的に集積され-80℃に保存された血漿検体を用いて、マウス脳でくも膜下出血後の血液脳関門障害の原因物質であることが判明したマトリセルラー蛋白であるガレクチン-3、ペリオスチン、secreted protein acidic and rich in cysteineをELISA法で定量した。その結果、これらの蛋白はいずれもくも膜下出血急性期に誘導されることが明らかになった。さらに複数のマトリセルラー蛋白濃度測定結果の単独あるいは組み合わせにより、その後に生じる遅発性脳損傷およびその原因病態を予知できる可能性が示された。多変量解析結果では、これらのマトリセルラー蛋白の測定結果は既存の様々な臨床症状や画像上のgradingよりも、より正確に遅発性脳損傷の予知に役立つ可能性が示された。
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