研究課題
21人の頭蓋内脳波を留置したてんかん患者の、脳波データの解析を行い、てんかん発作時の脳波と発作間欠期の脳波に分類することを試みた。これまでに報告されてきた波形解析は個人ごとに行われていることが多く、また先に波形をpowerなどの一般的によく利用される特徴に変換してから行われることが多かった。それに対し、今回の研究では波形を数値データとして直接深層学習の入力として使用した。これにより、個人ごとの波形特徴ではなく、患者間で共通の特徴を抽出できることをまず示した。次に、これまでの深層学習を利用した特に波形に関する研究では、ほとんどのものが波形の分類精度を上げることに焦点を当てており、作成した深層学習モデルが実際にどの様な特徴を捉えてその分類を行ったかということが、全くと言っていいほど明らかになっていないという問題に取り組んだ。画像解析用に開発された手法であるintegrated gradientという手法が、波形解析で深層学習が抽出した特徴量を明らかにすることにも応用可能であることに着目した。この手法を利用したところ、てんかん焦点において発作時にみられるpowerの分布に一つのパターンが見られることがわかった。このパターンを特徴量として用いると、これまでに報告されてきたpowerやPACといった特徴量よりも高い精度で、今回利用した患者データのてんかん発作時と発作間欠期脳波を分類できることがわかった。この結果は2021年に論文化し、2022年には国際学会での発表を行った。
すべて 2022
すべて 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件)