研究課題/領域番号 |
19K18433
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
植川 顕 熊本大学, 病院, 非常勤講師 (40448535)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 悪性神経膠腫 / 腫瘍微小環境 / 骨髄由来免疫細胞 / 脳血管周囲マクロファージ / 腫瘍血管新生 / VEGF |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、悪性神経膠腫の増殖・浸潤・血管新生において、腫瘍関連の免疫細胞である骨髄由来マクロファージ、リンパ球などと脳常在性の脳血管周囲マクロファージとの相互作用を解明し、臨床応用により新たな治療戦略を確立することである。 2019年度に引き続き患者の脳腫瘍組織サンプルを用いた組織学的検討するために、悪性神経膠腫患者から採取した腫瘍組織検体を用いて、免疫染色により脳血管周囲マクロファージが脳腫瘍細胞の増殖・浸潤にどのように関わっているか関連を評価した。当教室ですでに蓄積されている悪性神経膠腫のサンプルと臨床情報に加え、今後の手術例から採取されるサンプルも使用し、腫瘍本体と腫瘍周辺の浸潤部組織を用い、腫瘍細胞の浸潤、血管構築と免疫細胞について評価を行った。免疫細胞はミクログリア(Iba1抗体)、脳常在性マクロファージ(CD206体)、単球・未熟マクロファージ(ED1;CD68抗体)、腫瘍関連性M2マクロファージ(CD163抗体)を染色評価した。さらに、共焦点顕微鏡を用いて患者の脳組織サンプルから腫瘍周囲の微小血管と腫瘍内の造成血管の構造変化や、VEGFをはじめとした血管新生に関わる蛋白の染色評価を行った。現在はまだ評価を行っている途中であり最終結果が出ておらず、今後、評価結果を評価・解析する予定である。 また、マウス脳内腫瘍移植モデルや腫瘍細胞の培養により、サンプルや検査キットの準備を行いVEGF、IL-6 、MMP-9 、TNFαなどの血管増殖因子・サイトカインの発現をELISAや定量PCRで評価を行っている。 この研究の意義は、悪性神経膠腫の微小環境において、免疫細胞の相互作用や血管新生の機序を解明することにより、従来の化学療法や放射線療法に耐性を示す症例に対する新たな治療法を確立する基盤となり、今後の研究を進めるために重要な結果となる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2019年度に引き続き患者の脳腫瘍組織サンプルを用いた組織学的検討するために、悪性神経膠腫患者から採取した腫瘍組織検体を用いて、免疫染色により脳血管周囲マクロファージが脳腫瘍細胞の増殖・浸潤にどのように関わっているか関連を評価している。当教室ですでに蓄積されている悪性神経膠腫のサンプルと臨床情報に加え、今後の手術例から採取されるサンプルも使用して評価を行っており、おおむね順調に評価を行っている。 染色について、免疫細胞はミクログリア(Iba1抗体)、脳常在性マクロファージ(CD206体)、単球・未熟マクロファージ(ED1;CD68抗体)、腫瘍関連性M2マクロファージ(CD163抗体)を染色評価を行ってるが、抗体によって染色条件を調整する必要があるが、おおむね良好な染色ができている。共焦点顕微鏡を用いて患者の脳組織サンプルから腫瘍周囲の微小血管と腫瘍内の造成血管の構造変化や、VEGFをはじめとした血管新生に関わる蛋白の染色評価を行っているが、組織を40-60μmで切りだり染色するため、方法・条件の調整を行っているが、おおむね良好な染色結果を得ている。 また、マウス脳内腫瘍移植モデルや腫瘍細胞の培養により、サンプルや検査キットの準備を行いVEGF、IL-6 、MMP-9 、TNFαなどの血管増殖因子・サイトカインの発現をELISAや定量PCRで評価を行っているが、マウス脳内腫瘍移植モデルや腫瘍細胞の培養の方法・条件の検討を行っているが、当教室での同手法の経験の蓄積があるため、おおむね順調に研究が進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
悪性神経膠腫の摘出腫瘍サンプルの腫瘍本体と腫瘍周辺の浸潤部組織を用い、腫瘍細胞の浸潤、血管構築と免疫細胞について評価を行い、免疫細胞はミクログリア(Iba1抗体)、脳常在性マクロファージ(CD206体)、単球・未熟マクロファージ(ED1;CD68抗体)、腫瘍関連性M2マクロファージ(CD163抗体)を染色評価してている。さらに近年は腫瘍に関連したT細胞リンパ球の免疫機序が解明しており、T細胞リンパ球の相互作用についても評価・検討を行う。 染色について、免疫細胞はミクログリア(Iba1抗体)、脳常在性マクロファージ(CD206体)、単球・未熟マクロファージ(ED1;CD68抗体)、腫瘍関連性M2マクロファージ(CD163抗体)を染色評価を行ってるが、抗体によって染色性を向上させるため染色条件を調整する。共焦点顕微鏡を用いて患者の脳組織サンプルから腫瘍周囲の微小血管と腫瘍内の造成血管の構造変化や、VEGFをはじめとした血管新生に関わる蛋白の染色評価を行っているが、組織を40-60μmで切りだり染色するため、方法・条件の調整を行い、染色性・形態の保持性を向上させる。 また、マウス脳内腫瘍移植モデルや腫瘍細胞の培養の方法・条件の調整を行う。 上記の解析結果に基づいて、患者の臨床経過から従来の化学療法・放射線療法に耐性を示す患者群について詳しく検討を行い、治療抵抗性の機序を明らかにする。さらには、治療抵抗性を克服する治療法を確立する。
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次年度使用額が生じた理由 |
物品・実験器具は教室で共有の資材・道具を使用しているものも含むが必要分を本研究費から使用しているが、今後も本研究を行うのに必要な抗体、動物、試薬、研究キットなどを購入する。現時点では、学会への参加・発表はないため、旅費としての使用額はないが、今後の学会参加・発表の際に旅費として使用する。また、自分自身が実験を実施しているため、人権費としての使用額はないが、今後の人権費が必要な場合は使用する。
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