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2019 年度 実施状況報告書

脂質代謝とヒストン脱メチル化酵素LSD1に着目した新たな膠芽腫増殖制御機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 19K18434
研究機関鹿児島大学

研究代表者

坂元 顕久  鹿児島大学, 医歯学総合研究科, 客員研究員 (30404479)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2021-03-31
キーワードLSD1 / Glioblastoma / Cholesterol
研究実績の概要

U87グリオブラストーマ細胞に、野生型のEGFR(EGFR wt)を強制発現させた細胞(U87-EGFR wt)を用意し、EGF添加後のLSD1の転写レベルを比較したところ、EGF添加によるLSD1の転写レベルへの影響は認めなかった。また、EGF添加時にはLSD1のタンパク質量が増加し、逆にEGFRチロシンキナーゼ阻害剤使用時にはLSD1のタンパク質量は減少した。従って、グリオブラストーマ細胞においてLSD1は転写レベルではなくタンパク質レベルでEGFシグナルによって調整されることが確認された。LSD1の選択的阻害剤であるS2101を用いてグリオブラストーマ細胞におけるLSD1を阻害したところ、コレステロールを細胞内に取り込むLDLRを分解させる機能をもつMYLIP遺伝子の発現が誘導されており、LSD1の阻害によりコレステロールの吸収が抑えられる可能性が示唆された。更にはコレステロールを細胞外へと排出させる機能を持つABCA1遺伝子の発現も誘導されており、LSD1の阻害によりコレステロールの細胞外排出が促進されている可能性が示唆され、MYLIPの機能と合わせると、LSD1を阻害したグリオブラストーマ細胞では、細胞内コレステロールが枯渇しやすい状態になる可能性が示唆された。これらのコレステロール代謝に関連する遺伝子発現パターンは、RNAi法によるLSD1遺伝子の転写抑制実験でも概ね再現された。また同様に、LSD1選択的阻害剤S2101により、LDLRのタンパク質量が減少することを確認し、逆にABCA1のタンパク質量は増加することが確認された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

LSD1がどのようにEGFシグナルを受け、機能しているのかを共免疫沈降法やクロマチン免疫沈降法を用いて確認しようとしているが、条件検討に時間を要している。また、ヒストン修飾酵素、DNA修飾酵素、修飾認識因子などを標的としたCRISPR Cas9ライブラリーを用いて、グリオブラストーマ特有のコレステロール代謝を調節する新たなエピジェネティック因子を探索しているが、候補因子の絞り込みに時間を要している。今後もこれらの実験を継続していく予定である。

今後の研究の推進方策

現在の研究を継続し、EGFシグナルの下流におけるLSD1の機能について解析を進める。また、CRISPR Cas9ライブラリーで挙がってきた候補因子について、LSD1と同様の解析を行う。LSD1を含むこれらの因子の正常アストロサイトにおける機能も確認し、有望な分子標的となり得るかの検討の後、マウス脳への移植腫瘍を用いた機能解析を行う。

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公開日: 2021-01-27  

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