研究課題/領域番号 |
19K18440
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
安彦 友博 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 助教 (90837684)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | くも膜下出血 / マイクロRNA / マウスモデル |
研究実績の概要 |
hsa-miR-451aがくも膜下出血後の遅発性脳虚血(Delayed Brain Ischemia; DBI)に関与している可能性を明らかにする目的で研究を行った。くも膜下出血患者11例(平均年齢61.3歳、男女比8:3)、コントロール群としての未破裂脳動脈瘤7例(平均年齢63.3歳、男女比6:1)から当該施設の倫理委員会からの承認とご本人ないしご家族からの同意を得て提供頂いた血液からRNA分画を抽出し、qPCRを行いhsa-miR-451aの発現を解析したが、両群における発現の有意差は認めなかった。 このため、当初の研究計画にもあるようにhsa-miR-451に代わる機能的にDBIに関与している可能性のある候補となるマイクロRNAのスクリーニングを行う方針として研究を継続した。戦略としてくも膜下出血モデルマウスの血液中マイクロRNAでNeurovascular unit(NVU)崩壊に関与しているものを同定する方針として、まずはNVUが崩壊していることが確認されているくも膜下出血モデルマウスから脳毛細血管内皮細胞を単離した。簡潔に述べると、8週齢のTie2遺伝子にGFPを導入した遺伝子導入マウスを麻酔ののち、脳底槽に定位的に100μlの自家血を注入した。SAH後72時間にマウスを安楽死させ、大脳皮質を分離、細断後に酵素処理を行い、セルストレーナーを用いて毛細血管片が含まれる層を分離、ピューロマイシン添加の培養液下でⅣ型コラーゲンとフィブロネクチンの混合液でコーティングした培養皿で培養することで初代培養脳毛細血管内皮細胞を得た。今後解析を進める予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初くも膜下出血において発現が増加していると考えていたhsa-miR-451aがその後のqPCRを用いた解析でくも膜下出血における明らかな増加傾向を認めなかったため、これに代わるくも膜下出血後の虚血性脳障害に関与する可能性のあるマイクロRNAの候補をスクリーニングする必要が出てきた。このような事態も予め想定していたため、新たな候補遺伝子同定を目的としたスクリーニングを遅滞なく開始し、新たなスクリーニングは順調に進んでいるが、総合的に研究の進捗状況はやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
マウスモデルの血液中の発現からくも膜下出血後の虚血性脳障害に関与する可能性のあるマイクロRNAを同定し、その標的分子をマウスモデルの脳毛細血管内皮細胞で同定する、同定したマイクロRNAは臨床検体で、くも膜下出血後の虚血性脳障害の臨床マーカーとして利用できる可能性を評価する。
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次年度使用額が生じた理由 |
マイクロRNAのmimicやinhibitorを用いる機能実験が次年度にずれ込んだため次年度使用額が生じた。
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