0.4 mg(Monoiodoacetate)/50μL(生理食塩水)の関節内注入によるS-Dラットの変形性膝関節症モデルを作成し、注入後2・4・6週の時点でレーザーによる光音響システムを用いて吸入麻酔下に変形性膝関節症側と健常膝側の膝関節周囲の血管の観察及び画像の定量化による比較を行い、変形性膝関節症側の関節包周囲における血管の経時的な異常増生を明らかにした。 次いで、同部位の組織標本を作製し、免疫染色により関節包周囲の血管の観察及び単位面積あたりの血管数を測定し、変形性膝関節症側の関節包周囲における血管数の著名な増加が確認でき、光音響システムでの観察による結果を支持する結果を得た。 次いで、関節包周囲組織を採取し、RT-PCRを用いて血管新生に関わる因子(α-SMA、VEGF、HIF-1α、FGF2)及び炎症に関わる因子(IL-6、TNF-α、TNF-β、IL-1α、IL-1β)についての解析を現在継続して進めている。 本研究から①光音響システムを用いることで生体(吸引麻酔下)の関節周囲の血流の状態の観察が可能であること②変形性関節症の関節包周囲において血管の異常増生が存在することが明らかとなった。 この成果より向後、光音響システムを用いて関節周囲の異常血管と疼痛の関係性を明らかにし、関節外への治療の効果を検証することが可能となった。変形性膝関節症の新しい疼痛のメカニズムと治療の開発への基礎的基盤的研究となる極めて重要な結果が得られた。
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