研究課題/領域番号 |
19K18451
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
王 耀東 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 寄附講座講師 (40754437)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 大腿骨骨折 / 非定型大腿骨骨折 / 生体力学解析 / 病理組織学的解析 / 多施設研究 |
研究実績の概要 |
ビスホスホネート製剤の長期使用による合併症として注目を集めている非定型大腿骨骨折に関して、国内外で活発に研究されているが未だ全容が解明されておらず、明確な診断基準・治療指針がない。研究代表者は大腿骨弯曲変形による過剰ストレスで骨幹部中央に非定型大腿骨骨折が発症しうることを証明し報告すると同時に、骨幹部近位の転子下領域に発症する典型的な非定型大腿骨骨折と区別すべく生体力学的な観点から新しい概念を報告した。 本研究は共同研究施設の賛同を得て、倫理審査委員会の承認(M2000-2229番)後に非定型大腿骨骨折患者の登録とデータ収集をすでに開始している。多施設共同前向き臨床研究で非定型大腿骨骨折症例を登録し、発症に影響すると考えられる要因についてデータを収集する。特に弯曲型非定型大腿骨骨折の発症要因と病理組織学的所見を明らかにして診断基準を個別に確立し、非定型大腿骨骨折の治療法をサブタイプ別に検討し提唱することを目的としている。 東京医科歯科大学および整形外科関連20施設で、非定型大腿骨骨折症例をインフォームドコンセントのうえ登録し、診療によって得られる情報と検体を収集する。収集した情報と検体を匿名化し、主研究施設の東京医科歯科大学に集積する。統計解析に供するよう随時エクセルデータに記録する。生体力学解析として、大腿骨のCT画像からCT有限要素解析を行う。病理組織学的解析として、骨折部の病理組織標本から組織学的に骨代謝状態を解析する。 目標症例数100例のうち、初年度に43例が登録され、情報と検体を収集した。病理組織学的解析により、骨折部の生物学的活性がサブタイプ別に異なることが明らかとなった。研究結果は初年度(2019年度)に国内外の学会で発表し、権威ある国際誌に投稿済(revise中)である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度(2019年度)に非定型大腿骨骨折患者43例が登録され、情報と検体を収集した。 非定型大腿骨骨折のサブタイプ理論を提言すべく、病理組織学的解析と骨代謝マーカー解析を行った結果、骨代謝の状態や、骨折部の生物学的活性がサブタイプ別に異なることが明らかとなった。 研究結果は当該年度(2019年度)に国内外の学会で発表し、権威ある国際誌に投稿済(revise中)である。
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今後の研究の推進方策 |
次年度以降(2020、2021年度)も情報と検体の収集を継続し、データ解析を行う。登録された非定型大腿骨骨折症例を発症部位別に分類し、データを統計学的に比較検討することで、発症部位別に発症要因を明らかにする。各要因のカットオフ値を設定し弯曲型非定型大腿骨骨折症例を抽出し、多変量解析を行い、弯曲型非定型大腿骨骨折の診断基準を作成する。 さらに、非定型大腿骨骨折のサブタイプ別に治療法を検討し、内科的治療法(骨粗鬆症治療薬などの薬剤の使用法)と外科的治療法(内固定の方法、骨移植の必要性など)をサブタイプ別に提唱する。 本研究の成果は国内外の学会発表、国際誌やホームページでの公表などの方法で発信する。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究成果を初年度に国際誌へ投稿済(revise中)であり、accept時の英文投稿費用(カラーフィギュア掲載料など)として次年度に使用予定である。
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