研究実績の概要 |
ビスホスホネート製剤の長期使用による合併症として注目されている非定型大腿骨骨折は、国内外で活発に研究されているが未だ全容が解明されておらず、明確な診断基準・治療指針がない。研究代表者は大腿骨弯曲変形による過剰ストレスで骨幹部中央に非定型大腿骨骨折が発症しうることを証明し報告すると同時に、骨幹部近位の転子下領域に発症する典型的な非定型大腿骨骨折と区別すべく生体力学的な観点から新しい概念を報告した。 本研究は共同研究施設の賛同を得て、倫理審査委員会の承認(M2000-2229番)後に、東京医科歯科大学および整形外科関連施設で、非定型大腿骨骨折症例をインフォームドコンセントのうえ登録し、診療によって得られる情報と検体を収集、匿名化し、主研究施設の東京医科歯科大学に集積した。生体力学解析として、大腿骨のCT画像からCT有限要素解析を行った。病理組織学的解析として、骨折部の病理組織標本から組織学的に骨代謝状態を解析した。 目標症例数100例のうち、初年度(令和元年度)から令和5年度までに65例が登録され、情報と検体を収集した。病理組織学的解析により、骨折部の生物学的活性がサブタイプ別に異なることが明らかとなった。研究結果は初年度(令和元年度)より国内外の学会で発表し、令和2年度には権威ある国際誌に掲載された。 また脆弱性骨折と非定型骨折が混同して議論されることが多いことから、疲労骨折の古典的分類(fatigue, insufficiency, and pathologic fractures)に第4のカテゴリーとしてatypical fracturesを追加した新分類を考案し、令和3年度に権威ある国際誌で公表した。 令和3年度以降は、本研究で得られた成果を基に、国内主要学会の学術総会などにて、複数回の招待講演を行った。
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