研究課題/領域番号 |
19K18455
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
望月 友晴 新潟大学, 医歯学総合病院, 助教 (00773607)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 脛骨関節面 / 関節面水平化現象 / 変形性膝関節症 / 三次元 / 二次元 / 内反モーメント / X線 / 運動解析 |
研究実績の概要 |
変形性膝関節症(膝OA)の下肢アライメント内反化(O脚)は内反モーメントが直接的な内反化を引き起こす力学因子であるが、その内反モーメントは脛骨内側関節面傾斜に強く影響を受けていると想定される。内反モーメントを日常診療でルーティンに測定することは困難であるので、その結果として生じた荷重面水平化現象を捉えることで日常診療における膝OAのgrade評価や診断につながると考えられる。荷重面水平化現象は、究極的には二次元のX線で同定できる要因であると考えているが、それを証明するためには三次元評価で正確に水平化現象を証明し、運動との関連をみる必要がある。その上で、三次元から二次元に還元し、膝OAの進行度評価や早期診断、スクリーニングに用いることができるのではないかと考えている。 まず独自開発ソフトである三次元アライメント測定システム(KneeCAS)を用いて、荷重状態での脛骨関節面の地面からみた傾斜を測定した。関節面はきれいな平面ではないため、凹凸のある平面を、独自の平面近似測定方法を用いて三次元的に平面を設定し、その平面を座標系の冠状面、矢状面に投影して非荷重、荷重状態での地面に対する傾斜をOA患者と健常高齢者で測定した。その結果、健常高齢者では冠状面より矢状面を中心として、地面に対して脛骨の水平化現象を認めた。一方で、膝OA患者では矢状面よりも冠状面でより大きな変化を示し、三次元的に地面に対して傾斜を認めた。我々の仮説である荷重時の脛骨関節面の水平化現象が、健常、膝OA患者の両者で証明されたが、膝OA患者では、冠状面でより顕著な水平化現象を示した。今後はこの水平化現象と内反モーメントの関係を動的に証明し、最終的には二次元に還元するために、X線で同定できる有効なパラメターを発見していかなければならない。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
独自開発ソフトである三次元アライメント測定システム(KneeCAS)を用いて、荷重状態での脛骨関節面の地面からみた傾斜を測定した。関節面はきれいな平面ではないため、凹凸のある平面を、独自の平面近似測定方法を用いて三次元的に平面を設定し、その平面を座標系の冠状面、矢状面に投影して非荷重、荷重状態での地面に対する傾斜をOA患者と健常高齢者で測定した。その結果、健常高齢者では冠状面より矢状面を中心として、地面に対して脛骨の水平化現象を認めた。一方で、膝OA患者では矢状面よりも冠状面でより大きな変化を示し、三次元的に地面に対して傾斜を認めた。我々の仮説である荷重時の脛骨関節面の水平化現象が、健常、膝OA患者の両者で証明されたが、膝OA患者では、冠状面でより顕著な水平化現象を示した。
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今後の研究の推進方策 |
今後はこの水平化現象と内反モーメントの関係を動的に証明し、最終的には二次元に還元するために、X線で同定できる有効なパラメターを発見していかなければならない。 内反モーメントとの関係をみるために、運動解析システムViconを用いて内反モーメントを測定するが、歩行時の脛骨関節面水平化現象はVicon単独では測定できない。そのため、三次元アライメント測定システムであるKneeCASと組み合わせることによって関節面を推定し、歩行時の地面に対する傾斜変化を同定する予定である。これによって脛骨関節面水平化現象の妥当性(歩行時に起きていることの証明)、原理(内反モーメントとの相関)を証明していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナの影響で予定学会の参加がなくなったため、その分次年度に繰り越しとなった。
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