研究課題/領域番号 |
19K18457
|
研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
高橋 藍 福井大学, 学術研究院医学系部門(附属病院部), 助教 (90615303)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
|
キーワード | 脂肪由来間葉系間質細胞 / 脊髄損傷 / 酸化ストレス / 低酸素ストレス |
研究実績の概要 |
脂肪由来間葉系間質細胞 (adipose-derived mesenchymal stromal cell; AD-MSC)および骨髄間質細胞 (bone marrow-derived mesenchymal stromal cell; BM-MSC) を用いて下記①②の実験を行い,その結果を第34回日本整形外科学会基礎学術集会(横浜市)にて発表した。 ①動物実験では8-10週齢のSDラットを用いて,IHインパクターにて重度脊髄損傷モデルを作成し,損傷後3日目にAD-MSCを損傷部に移植し,(i) AD-MSC群(細胞移植単独),(ii) リハ群(トレッドミル運動単独),(iii) AD-MSC+リハ群(細胞移植+トレッドミル運動)(iv) コントロール群(無治療)の4群に分け,移植後の運動機能についてBBBスコアを用いて比較した。その結果,AD-MSC移植+リハ群では他の治療介入群およびコントロール群と比較して運動機能の改善を認めた。 ②AD-MSCとBM-MSCをそれぞれ20.5%, 1.0% 酸素条件下で培養し細胞上清中のサイトカイン濃度をRt-PCR法で測定した。その結果,AD-MSCはBM-MSCと比較しFGF-1,Angiopoietin2,Vcam1の発現増加を認めた。この結果はDNA microarray法による解析と整合性のとれるものであった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
先行研究から,脂肪由来間葉系間質細胞は骨髄間質細胞と比較し細胞傷害性ストレスに耐性があること,また損傷脊髄に移植した場合の運動機能改善効果があることが分かっている。本研究ではさらに重度脊髄損傷に焦点をあてた実験を遂行しており,先行研究の結果も踏まえておおよその結果予測が可能である。
|
今後の研究の推進方策 |
脂肪由来間葉系間質細胞の脊髄損傷治療効果および外分泌作用の解明を目的とし実験を継続する。運動機能,サイトカイン解析,組織学的評価の結果が判明した段階で,論文として研究結果をまとめる予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
補助事業の誠実な執行に努めた結果、当初計画より経費の使用が節約できたことにより未使用額が生じた。 当該未使用額を次年度に持ち越して追加の試薬・抗体・消耗品等購入する。
|