研究課題
本研究では、長範囲矯正固定術を施行した成人脊柱変形患者の術前後の歩行姿勢、下肢のキネマティックスの変化を年代別(中年群, 前期高齢群, 後期高齢群)に比較した。全年代で矯正固定術により歩行時の体幹前傾、歩幅、歩行速度、膝の伸展角度は改善した。年代別に比較しても長範囲矯正固定術が歩行機能に与える効果は同程度であり、高齢者であっても矯正手術により歩行機能の改善が得られることを明らかにした。患者立脚型評価を用いた臨床成績評価においても、長範囲矯正固定術により機能障害や疼痛が改善し、中長期に維持されていた。また、術後の治療満足度の観点から評価しても中年群と後期高齢群では治療満足度は同程度であった。一方で、成人脊柱変形に対する長範囲矯正固定術では、中長期に骨癒合不全に伴うロッド折損や隣接椎間障害が生じたが、適切な再手術を行うことで中長期成績において改善が維持されていた。特に術前の機能障害が大きい症例は、矯正固定術により適切な矢状面アライメントに矯正されることで臨床成績改善につながっていた。また、本研究ではKINECT(Microsoft)を搭載したマーカーレス三次元歩行解析装置を用いて成人脊柱変形症例の術前後の中距離歩行解析の手法も確立した。成人脊柱変形患者の中距離歩行後の体幹前傾や冠状面での傾斜は術後に改善した。下肢のキネマティクスでは、成人脊柱変形患者は中距離歩行において歩隔が広く非効率的な歩容であったが、矯正固定術後には歩隔は狭くなり、歩幅が広がったことにより歩行速度、6分間歩行距離は増加し、効率的な歩容に改善したことを明らかにした。
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Spine
巻: Publish Ahead of Print ページ: -
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Journal of Neurosurgery: Spine
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