研究実績の概要 |
本研究の目的は、“3次元積層造形”と“表面化学処理”を組み合わせることで、患者それぞれの骨欠損の状況に適したカスタムメイドであり、かつ骨と強固に結合する新しいチタン合金インプラントを開発することである。R3年度の成果として、複雑な形状のインプラントの生体内での骨結合能・骨誘導能の評価: 荷重のかかる長管骨での本インプラントの有用性を評価するため、ウサギ大腿骨のモデルで評価を行った。ウサギ大腿骨に、従来は再建が困難と考えられてきた骨軸方向10 mmの完全骨欠損部位を作成した。3D-CADソフトウェア上で、この骨欠損部位に適合する髄内釘型インプラントを設計し、そのデータを基にレーザー積層造形機器で造形した。ストロンチウム処理群とコントロール群(表面処理なし)のインプラントをウサギ大腿骨欠損部に埋め込み、埋入期間は4週・8週、及び12週とし、CTで骨欠損部インプラント上の新生骨の状態を定量化し比較した。またインプラントの緩み・破損の有無を、コントロール群と比較することで、骨再建能を評価した。その結果、ストロンチウム処理群において、8週の時点でCTにて骨癒合がみられ、またインプラントの緩み・破損もコントロール群に比べて有意に少なかった。以上の結果から、“3次元積層造形”と“表面化学処理”を組み合わせたインプラントによって、大きな骨欠損部位に適合し,かつ早期の骨癒合を得ることができた。
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