研究課題/領域番号 |
19K18466
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研究機関 | 国立研究開発法人国立がん研究センター |
研究代表者 |
横尾 賢 国立研究開発法人国立がん研究センター, 中央病院, レジデント (00781204)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | バイオマーカー / 軟部肉腫 |
研究実績の概要 |
本研究では、未だ予後不良とされる骨軟部肉腫における腫瘍由来エクソソームを特定し、その膜表面タンパクの網羅的解析および検出技術を開発することにより、新規リキッドバイオプシー法を開発すること、また診断のみならず治療標的としての候補分子の機能検索を目的としている。 2年目においては、初年度に行った骨軟部肉腫由来エクソソームにおける候補タンパクが、滑膜肉腫細胞株において発現していることをウェスタンブロット、ELISA法で確認した。動物個体を用いた抽出分子の診断・治療標的としての意義の検証として、骨軟部肉腫細胞株をnude mouseに移植し、腫瘍増殖および外科的切除に伴い候補タンパクを標的としたエクソソーム検出の発現比較を行った。腫瘍サイズとマウス血清由来エクソソームに発現する候補タンパクが相関することを確認し、また腫瘍切除を行ったマウスにおいては、切除後に採取したマウス血清由来エクソソーム中の候補タンパクの発現が減少していることも確認した。骨軟部肉腫の術前術後ペア血清を用いた検討においては、エクソソーム中の候補タンパクの発現が術前に比べ術後に有意に減少していたことを確認した。また、治療経過に沿った抽出分子の検証を行い、骨軟部肉腫患者由来エクソソー ムの術前・術後・再発時・化学療法の前後など、経時的な候補タンパクの発現量が変化していたことを確認した。また、WBCやHbなどとは相関しないことも確認でき、血球由来エクソソームに左右されない特異的なバイオマーカーとなる可能性も示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通り研究計画がすすんでいる。
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今後の研究の推進方策 |
3年目は候補タンパクの臨床検体および細胞株における機能検証、手術患者の病理検体を用いた発現解析を行う。候補タンパクの細胞株における機能解析では、候補タンパクの発現抑制株を作成し、増殖能・遊走能・浸潤能を正常株と比較する。候補タンパクと融合遺伝子タイプとの関連性も評価する。病理学的検討においては、候補タンパクの発現率や予後、融合遺伝子との関連性などについて検証する。また、ExoScreen法におけるエクソソーム検出と臨床病理学的意義の検討を行い、骨軟部肉腫患者の血液をもとに化学療法前後、術前後等で解析し、治療モニタリングの手段としての可能性を検証する。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスにより学会関連費が減少したことが影響している。次年度においては他の骨軟部腫瘍における候補タンパク機能などの解析を考えているため、物品購入の増額などを計画している。
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