関節リウマチの炎症性肉芽組織(パンヌス)の形成と関節破壊においては、活性化したFLSsの増殖と骨、軟骨への遊走と浸潤が重要である。関節リウマチ患者の滑膜細胞を採取し、グリオスタチンを投与し、グリオスタチンのRA-FLSsに対する細胞増殖能をWST assayで、遊走能をwound healing assayとtranswell assayで、浸潤能をマトリゲルインベージョンチャンバーにて検討をこころみているが、生物学的製剤、JAK阻害剤などの新規治療薬の出現により、手術患者症例が減少し、関節リウマチ患者の滑膜組織が、入手困難な状況である。また手術施行できたとしても、薬物治療後のため、良好な滑膜細胞の採取が困難である。滑膜組織を小片に切断し、10%FCS含有RPMI1640培地で100-mmdishに3日間培養後、接着した細胞群をピペッティングで回収し、セルストレイナーでデブリスを除去した細胞懸濁液にリンパ球分離溶液を投与し、遠心して得られた中間層には、リンパ球、FLS、マクロファージ、樹状細胞、内皮細胞が含まれており、これを炎症性細胞群として、10%FCS含有DMEM培地で酵素処理せずに培養するとパンヌス形成がex vivoで確認できる報告があり、同様の研究を行っているが、生物学的製剤使用後の滑膜組織は活性が低下し、良い結果が出ていない状況である。今後はセルラインなどを用いた研究への変更も念頭におき、出来る範囲で研究を継続する予定である。
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