研究実績の概要 |
びまん性特発性骨増殖症(DISH)は椎体前面にある前縦靱帯の骨化(OALL)が連続して起こることにより脊椎の可動性が低下する病態であり、脊椎骨折を引き起こすと高率に脊髄損傷を引き起こす。その臨床報告は高齢化社会と共に増多の一途を辿るもののその疫学報告は数少なく、未だその病態は不明な部分が多い。そのため、地域代表性を有したコホートにて検診者に全脊椎のX線撮影を行い、DISHの有病率及び3年での発生率及び発生危険因子を明らかにする事ができた。 ベースライン調査で対象とした1690人の内単純X線画像の読影の可能であった1647名を対象とし、DISHの有病率が10.3%(男性21.35%、女性4.55%)であった。ベースライン調査にてDISHが無く、追跡調査に参加した参加者は1219名(男性359人女性860名)でありその内88名(男性54名、女性34名)(7.2%)にDISHが新規発生していた。ロジスティック回帰分析を行い、性(vs女性、オッズ比 (OR) 4.53,95%信頼区間(CI)2.87-7.24,p<0.0001)、年齢(+1,OR 1.09,95%CI1.05-1.12,p<0.0001)、BMI(+1,OR 1.10,95%CI1.01-1.95,p=0.0248)、腰椎骨密度(+1,OR 8.56,95%CI1.43-51.5,p<0.0186)がその発生危険因子であった。
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今後の研究の推進方策 |
7年、10年及び13年での追跡調査の参加者全員に全脊椎前後像、側面像を読影し新規発生率を明らかにする。 また、追跡調査で行った骨密度測定(腰椎、大腿骨近位部、問診票調査:生活習慣(飲酒、喫煙、運動習慣、職業歴など)、生活機能チェックリスト、SF8, EQ5D、身体・運動機能検査:歩行速度、片足立ち時間、いす立ち上がり時間、握力、診察:神経学的所見、後調査:骨折の有無、骨折の予後、運動機能、ADL,QOLの推移、要介護の移行の有無、生命予後の解析を行う。追跡の調査の解析とベースライン調査のレコードリンケージを行いDISH有病者のその後の椎体骨折発生の有無、骨粗鬆症発生の有無、DISH有病者、DISHと椎体骨折,骨粗鬆症合併者それぞれの予後、DISHの予後に影響する要因を解明する、新規発生DISHの発生率と危険因子の解明を順次行っていく。
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