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2019 年度 実施状況報告書

ES細胞より分化誘導した知覚神経前駆細胞を用いた慢性疼痛の病態解明

研究課題

研究課題/領域番号 19K18479
研究機関藤田医科大学

研究代表者

古井 豊士  藤田医科大学, 医学部, 助教 (30770705)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワード疼痛 / 幹細胞
研究実績の概要

疫学調査によると我が国においては成人の約4割が慢性疼痛に罹患していることが明らかとなっている。慢性疼痛は手術痕の痛み、腰痛、関節リウマチ、癌などさまざまな要因によって引き起こされる。その要因の多様さや罹患率の高さなどから国民病と言える状態にあり、慢性疼痛の病態機構の解明は医学的・社会的に極めて重要な課題である。慢性疼痛は知覚神経細胞の何らかの異常により生じると考えられていることから、知覚神経細胞を安定的に培養できる系は病態機構解明には極めて有用である。本研究では、幹細胞由来神経細胞から知覚神経細胞のみを効率よく分離することによる知覚神経細胞の分化誘導系と大量培養系の確立を目指す。本年度は、知覚神経に分化した細胞の選別のため、知覚神経細胞分化過程に重要なNeurog2遺伝子座へのレポーター遺伝子のノックインを行った。Neurog2遺伝子座の下流にレポーター遺伝子Venusを、2A配列とともに挿入した。ノックインにはゲノム編集技術CRISPR/Cas9を用いた。はじめにウェブ上のいくつかの設計ツールを用いてNeurog2の下流領域でのCas9標的部位を探索し、オフターゲット効果の低い部位を選択した。次に、標的部位を切断するためのガイドRNA+Cas9共発現ベクターを、pX330を用いて作成した。同時に、選択した標的部位の切断活性を評価するためのコンストラクトをpCAGEGxxPFを用いて作成した。これらを用いて切断活性の高い標的部位を決定した。次に、決定した標的部位を元に、Neurog2をノックインするためのターゲッティングベクターを作成した。ターゲッティングベクターとガイドRNA+Cas9共発現ベクターをNucleofectionによってマウスES細胞に導入した。続いて薬剤耐性およびゲノムPCRにより、Neurog2の下流にVenusの挿入されたES細胞のクローンを同定した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の計画に基づき、ゲノム編集技術CRISPR/Cas9を用いてレポーター遺伝子としてのVenusをNerug2遺伝子座の直下流に挿入した。また、薬剤耐性およびゲノムPCRにより、Venusが適切なゲノム領域に挿入されているマウスESクローンを作成した。

今後の研究の推進方策

幹細胞からの分化誘導は、培養液に添加する種々の細胞増殖因子によってある程度制御できることが報告されている。したがって、作成したNeurog2-VenusノックインES細胞を用いて、知覚神経細胞を高効率で分化誘導できる培養条件を探索する。

次年度使用額が生じた理由

Neurog2遺伝子下流へVenus遺伝子を挿入ES細胞の性質のさらなる検証や知覚神経細胞の分化誘導条件の探索などの一部の実験で次年度に継続する必要が生じた。
幹細胞および幹細胞由来の神経細胞の培養のためのプラスチック製品、細胞培養液および血清など培養液への添加物が必要となる。また、細胞増殖因子を含む化合物を必要とする。その他、分子生物学的実験に必要な酵素やプライマー、免疫細胞化学実験に必要な薬品および抗体を計上した。

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公開日: 2021-01-27  

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