研究実績の概要 |
マウス骨肉腫高肺転移細胞株LM8においてPDGFRα, AXL, FLT-3の活性化が認められ、Multiple Tyrosine Kinase InhibitorであるTAS-115がこれらの活性化を抑制することでin vitro, in vivoともに抗腫瘍効果を発揮し、今後TAS-115が骨肉腫に対する有効な治療薬になりうることが示された。また、我々が樹立した新規ヒトCIC-DUX4肉腫細胞株Kitra-SRSではIGF-1Rがautocrine的に活性化し、それに対する阻害剤が下流シグナルを抑制することで抗腫瘍効果を発揮することが示された。そして、ヒト淡明細胞肉腫細胞株であるHewga-CCS, MP-CCS-SY, KAS, SU-CCS1の計4株ではMETが発現しており、そのうちHewga-CCS, MP-CCS-SYにおいてはHGFの発現とMETの活性化が認められ、他の2株ではHGFは検出されず、METの活性化は微弱であった。HGFを発現している2株においてMET阻害剤投与により増殖抑制効果が観察され、淡明細胞肉腫においてHGFのautocrine的な作用がMETシグナルの活性化に寄与しており、HGFの発現がMET阻害剤の感受性に相関しているものと考えられた。さらに、ハイスループットスクリーニングで淡明細胞肉腫の新規治療薬候補薬としてHDAC阻害剤を同定し、in vitro, in vivoともにHDAC阻害剤投与によりヒト淡明細胞肉腫細胞株の増殖抑制効果を認め、その疾患特異的な融合遺伝子EWS-ATF1の発現低下を認めた。また、BET阻害剤を併用することでその効果は増強し、より高い抗腫瘍効果を発揮することが確認できた。現在、滑膜肉腫におけるBET阻害剤の抗腫瘍効果についても検討を重ねている。
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