研究課題
ラット変形性股関節症(OA)モデルの適正化を進めた。股関節MIA(mono-iodoacetate)投与モデルでは関節内投与量を0.25mg, 0.5mg, 1mg, 2mgとして検討した。関節内への投与量により経時的にOAが進行するモデルと、早期に末期OAに達してその後の慢性疼痛評価に適したモデルの作成が可能であった。その結果について現在英語論文投稿中である。また、外科的に股関節脱臼を起こしてOAを進行させるモデルを作成し変性の進行について評価を行なった。外科的脱臼モデルでは画像的にも組織学的にも緩徐にOAが進行するモデルが作成できる可能性があり、慢性的に進行する臨床病態に即した評価について現在検討を進めている。股関節OAにおける軟部組織の変性についても検討を行なった。股関節周囲筋の解剖学的検討から大腿神経との位置関係を詳細に評価し、OAの進行に伴って股関節周囲筋の中でも特に腸腰筋が萎縮することで大腿神経と股関節の位置関係に影響すること解析して現在英語論文投稿中である。治療薬の候補としてデュロキセチンの効果を検討し、その神経障害性疼痛の抑制効果について英文誌に公表した。また、トラマドールによる効果についても検討し、行動学的に疼痛抑制効果を認めたもののOAの進行も認めた。過度な疼痛抑制による変性進行を促進した可能性については免疫染色を含めた更なる検討を行い、その結果について現在英語論文作成中である。
2: おおむね順調に進展している
実験は予定通り進行しており、予定通りの成果が出せている。
令和3年度は研究の最終年度となるため、研究成果の総まとめを行う。ラット股関節OAモデルについてはMIA投与モデルと外科的脱臼モデルそれぞれの特徴と臨床応用の可能性について報告する。治療候補薬としてトラマドール投与モデルにおける免疫染色を行い、神経障害性疼痛ならびに侵害受容性疼痛への関与を検討する。疼痛抑制効果とOAの進行の原因について検討して報告する。
令和2年度はコロナウイルスパンデミックのため研究活動制限があり、また学会中止やオンライン開催等により旅費がかからなかったことから次年度使用額が生じた。令和3年度は研究最終年度となるため研究成果の総括、発表を行う。消耗品として研究成果の記録媒体、成果発表国際学会発表としての旅費、統計処理や英文校正の費用を計画している。
すべて 2021 2020
すべて 雑誌論文 (9件) (うち査読あり 8件) 学会発表 (3件)
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