研究課題/領域番号 |
19K18489
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
鈴木 志郎 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, ジョイントリサーチ講座助教 (50834701)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 三角線維軟骨複合体 / 橈尺靱帯 / 解剖学 |
研究実績の概要 |
三角線維軟骨複合体の中で、橈尺靱帯の走行と尺骨茎状突起への付着に対して、肉眼解剖学的解析及び組織学的解析を行った。 肉眼解剖学的観察により、三角線維軟骨は尺骨茎状突起頂部から壁面に対して線維が連続していること、その遠位面が掌側方向に連続して、掌側の関節包に移行していることがわかった。 橈尺靱帯に関する組織学的解析は、既存の報告では、橈側のTFCから尺側へ走行する線維構造という認識のためか、多くは冠状断によることが多かった。その問題点として、回旋肢位や、切断面の位置により見え方は大きく異なり、再現性に乏しいという問題点がある。軸位断による解析は薄切する感覚を狭めれば、回旋肢位の影響を受けないため、本研究では、300μmごとの軸位断標本を作製し、解析した。三角線維軟骨から連続する橈尺靱帯は、尺骨茎状突起の近位側においては橈側掌側から尺側背側方向へ向かい、遠位方向に進むにつれてその線維方向を変化させ、尺骨茎状突起の頂部においては、橈側背側から尺側掌側方向へ向かっていることが見いだされた。つまり、橈尺靱帯の線維方向の変化は連続的であるが、尺骨茎状突起に対して、近位と遠位の線維では交叉の関係にあることがわかった。膝関節における前十字靭帯と後十字靭帯に類似する構造であり、その交叉関係が回転・回旋運動の制御に貢献していると考えられる。つまり、橈尺靱帯は、回内時には尺骨茎状突起の基部を背側方向へと向かう線維が緊張し、回外時には尺骨茎状突起の頂部や掌側関節包へ向かう線維が緊張し、安定性を得ているのではないかと推察される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2020年度に予定していた肉眼解剖学的解析及び組織学的解析を行うことができた
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今後の研究の推進方策 |
マイクロCT(inspeXioSMX-100CT)の撮像を行う。尺骨遠位部の三次元立体構築像を、解析ソフト(VGStudio Max 2.0)にて作成する。得られた画像から、解析ソフトBoneJを用いて皮質厚の可視化、計測を行い、どの部位に力学的ストレスがかかっているか検証し、肉眼解剖・組織学的解析との整合性を検証する。
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次年度使用額が生じた理由 |
概ね研究計画通りの助成金使用となったが、物品に関して、既存の資材を使用できため、残預金が生じた。 2020年度の消耗品購入に、使用する予定である。
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