前年度までに、本研究当初に計画していた肉眼解剖学的解析、組織学的解析、マイクロCTを用いた画像解析を終わらせた。 肉眼解剖学的観察により、三角線維軟骨は尺骨茎状突起頂部から壁面に対して線維が連続していること、その遠位面が掌側方向に連続して、掌側の関節包に移行していることがわかった。組織解剖により、三角線維軟骨から連続する橈尺靱帯は、尺骨茎状突起の近位側においては橈側掌側から尺側背側方向へ向かい、遠位方向に進むにつれてその線維方向を変化させ、尺骨茎状突起の頂部においては、橈側背側から尺側掌側方向へ向かっていることが見いだされた。また、マイクロCTにより、骨皮質の厚みを解析した。尺骨形状突起の橈側背側部の骨皮質は暑く、同部への軟部組織の緊張が強いことが推測され、肉眼解剖、組織解剖の結果と矛盾しないものであった。 その研究結果をJournal of Anatomyに投稿し、受理、公開された。2020 Dec; 237(6): 1032-1039. Anatomical relationship between the morphology of the styloid process of the ulna and the attachment of the radioulnar ligaments その後、健常者ではなく、三角線維軟骨複合体損傷患者のMRI解析を行い、今回の研究結果でわかった三角線維軟骨複合体の構造理解を踏まえた上での、破綻部位の解析を行った。
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