研究課題/領域番号 |
19K18490
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
片桐 洋樹 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 助教 (50795028)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 半月板再生 |
研究実績の概要 |
MSCsの培養液上清から10 kDaのアミコン ウルトラ フィルター ユニットを用いてMSCs由来エクソソームを精製した。C57 BL/6Jマウスを用いて半月板前節切除モデルを作成、週一回のエクソソーム関節内注射した群をエクソソーム群、PBSを注射した群をコントロール群として術後3週における組織学的な検討を行った。軟骨細胞とMSCsに対し、エクソソームを添加し、増殖能をCCK-8 アッセイ(n=各群5)による吸光度、遊走能をTトランスウェルアッセイでtrans well assay(n=各群4)で評価、軟骨分化能をペレットカルチャーにて評価した、統計学的な検討を行った。 マウスの半月板再生はエクソソーム群で促進されModified Pauli's スコアで有意に高値であった(コントロール群: 3.1点、エクソソーム群: 9.0点、P<0.01)。軟骨細胞、MSCsの増殖能はエクソソーム群で有意に上昇した(軟骨細胞 コントロール群では: 0.53、エクソソーム群では:1.07、MSCs コントロール群では: 1.06、エクソソーム群では: 1.90 P<0.01)。軟骨細胞の遊走能は培養12時間でエクソソーム群において有意に上昇した(コントロール群:29.5cells、エクソソーム群: 65.6cells、P=0.04)。一方で、MSCsの遊走能ではエクソソーム群で上昇する傾向にあった(コントロール群: 48.5cells、エクソソーム群: 65.4cells、P=0.14)。ペレットカルチャーではペレットのサイズと、サフラニンOせんしょくによる染色能に2群間に有意差は無かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り、MSCsの培養液上清から10 kDaのAmicon Ultra Filter Unitを用いてMSCs由来エクソソームを精製した。C57 BL/6Jマウスを用いて半月板前節切除モデルを作成、週一回のエクソソーム関節内注射した群をエクソソーム群、PBSを注射した群をコントロール群として術後3週における組織学的な検討を行った。軟骨細胞とMSCsに対し、エクソソームを添加し、増殖能をCCK-8 assay(n=5)による吸光度、遊走能をTrans well assay(n=4)で評価、軟骨分化能をペレットカルチャーにて評価した、統計学的な検討を行った。 結果としても当初のよ定通り、マウスの半月板再生はエクソソーム群で促進されModified Pauli's Scoreで有意に高値であった。軟骨細胞、MSCsの増殖能はエクソソーム群で有意に上昇した。軟骨細胞の遊走能は培養12時間でエクソソーム群において有意に上昇した。一方、MSCsの遊走能ではエクソソーム群で上昇する傾向にあった。ペレットカルチャーではペレットのサイズ、サフラニンOによる染色能に2群間に有意差は無かった。 このように概ね当初の研究計画予定通りである。
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今後の研究の推進方策 |
エクソソームのmicroRNA解析をおこない、本研究で得られた作用能の差異と照らし合わせ、組織再生能の差異を生むターゲットmicroRNAを探索する。 エクソソーム内のmicro RNAとレシピエント細胞のRNA解析:MSCsからのエクソソームにmicro RNA sequenceをおこない発現レベルに差を認める変動microRNAを抽出する。MSCsからのエクソソームを添加されたレシピエント細胞のRNAsequenceをおこない発現レベルに差を認める変動RNAを抽出する。 TargetScanを用いたターゲットmicroRNAの選出。:レシピエント細胞の変動RNAとエクソソームの変動microRNAにTargetScanを用いレシピエント細胞内のRNAに影響したエクソソーム内のターゲットmicroRNAを選出する。 ターゲットmicroRNAを遺伝子導入で増強したエクソソームによる軟骨再生能の増強:ターゲットmicroRNAのノックダウンにて発現の減弱をおこなったMSCsと発現を増強させたMSCsからのエクソソームをレシピエント細胞に添加し、その増殖能、遊走能、分化能、抗炎症能を評価する。さらにエクソソームを軟骨欠損モデルへ移植し組織再生能を評価する。期待される結果:ターゲットmicroRNAの発現を増強した細胞のエクソソームをもちいることにより、より優れた軟骨再生が得られると考える。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予定していた順番と異なる順番で実験を行う事となり、マイクロアレイの費用が次年度に変更となったため、次年度使用額が生じた。
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