本研究の目的はIL1bによる間葉系幹細胞(MSC)増殖の分子機序を明らかとすることである。IL1bの効果は血清の存在下でのみ観察されたことから、IL1bは、血清中に存在する他の増殖因子の作用を増強すると考えられた。さらに細胞内Erk1/2のリン酸化を検証したところ、血清刺激により観察されるErk1/2のリン酸化をIL1bが延長させることが明らかとなった。この現象はMSC特異的であった。MSCにおいて観察される遅延型Erk1/2リン酸化の分子機序を明らかとする目的で、IL1受容体の発現解析を行ったところ、MSCでは主に短いアイソフォームが発現していること、細胞質に局在することが明らかとなった。
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