研究課題
我々は以前より変形性膝関節症(以下膝OA)の軟骨変性に対し、脂肪由来間葉系幹細胞adipose-derived stem cells (ADSC)を用いた予防・修復の可能性の検証を行ってきた。前実験では、ADSCを関節内への幹細胞の生着率を向上させる技術 「ADSCのシート化」 を確立した。さらに、このADSCシートを家兎の膝OAモデルに移植することで、軟骨変性が抑制されることを報告した。本研究では、さらなる再生効果を目的とした、軟骨形成細胞シート(ADSCを軟骨形成細胞へ分化させシート化させる)の作成とその関節軟骨への再生の可能性を検証する。効率的な軟骨分化能を有するシート作成に関して、多血小板血漿(PRP:Platelet-rich plasma)を含む培地に着目した。本研究では特に軟骨細胞シートの確立を目的とし、日本白色家兎の膝OAモデルで、自家末梢血から生成したPRPを用いADSCの軟骨形成細胞へ分化誘導を評価した。結果;PRP培地を用いて軟骨分化を示唆する遺伝子発現(Collagen Ⅱ, Sox 9 and aggrecan)を有する軟骨形成細胞への分化を確認した。今後研究を継続し、sample sizeを大きくし、PRP培地使用による分化能促進を証明する予定である。さらに、軟骨形成細胞シート化の関節内移植による再生能の評価を検討する予定である。
すべて 2020
すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件)
BMC Musculoskelet Disord.
巻: 21 ページ: 1-11
10.1186/s12891-020-03718-z.