ゲノム編集法を用いた関節リウマチ滑膜におけるサバイビンバリアントの役割の解明

2021 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 19K18499
• 研究機関: 広島大学
• 研究代表者: 茂久田 翔 広島大学, 病院(医), 研究員 (80837162)
• 研究期間 (年度): 2019-04-01 – 2023-03-31
• キーワード: 関節リウマチ / 滑膜線維芽細胞

研究実績の概要

本研究は、関節リウマチの病態制御を最終目標とし、関節リウマチ（RA）の病態の中心である関節滑膜・滑膜線維芽細胞について、増殖のメカニズムの解明、増殖を抑制するための新規治療法の開発を目指している。RAにおける滑膜線維芽細胞の特徴として、炎症性サイトカインの産生能及び旺盛な増殖能が挙げられる。しかしながら、炎症性サイトカインなどの液性因子や滑膜線維芽細胞の増殖能の関連性について、報告は限られている。そこで申請者らは、CRISPR/Cas9法を含む種々のアプローチを行った。特に、増殖能について細胞周期やアポトーシスなど複数の視点からの解明（既報の代表例として、アポトーシス抑制因子であるサバイビンが挙げられる）、及び、炎症と増殖能の機能的関連性の解明を目指した。その過程で、特にRNA-seqによる網羅的な遺伝子発現解析に着目し、細胞周期やアポトーシスと関連する候補遺伝子を抽出した。その結果、炎症性サイトカインIL-1βによって刺激された滑膜線維芽細胞では細胞周期促進因子の発現亢進やアポトーシス促進因子の発現低下が確認された。これらの遺伝子変動は、炎症に伴う滑膜増殖の分子メカニズムを表現しており、RAの病態解明に寄与すると考えられた。また、データベース検索によってこれらの遺伝子に対応する候補となるマイクロRNAの抽出を行った。マイクロRNA及びその宿主遺伝子の内因性の発現の有無や生物学的機能などについて、今後の検討が必要と考えられた。

研究成果

• [雑誌論文] Comment on: Combination of immunosuppressive therapy and nintedanib improves capillaroscopic changes in systemic sclerosis-interstitial lung disease: a case report (2022)
  • 著者名/発表者名: Tomohiro Sugimoto, Yusuke Yoshida, Sho Mokuda, Shintaro Hirata
  • 雑誌名: Rheumatol Adv Pract . 巻: 6 ページ: rkac024
  • DOI: 10.1093/rap/rkac024.
  • 査読あり / オープンアクセス
• [雑誌論文] The Lipopolysaccharide Mutant Re-LPS Is a Useful Tool for Detecting LPS Contamination in Rheumatoid Synovial Cell Cultures (2022)
  • 著者名/発表者名: Hiroki Kohno, Kazuhisa Ouhara, Sho Mokuda, Tadahiro Tokunaga, Tomohiro Sugimoto, Hirofumi Watanabe, Michinori Ishitoku, Yusuke Yoshida, Noriyoshi Mizuno, Tatsuhiko Ozawa, Masatoshi Kawataka, Shintaro Hirata, Hiroyuki Kishi, Eiji Sugiyama
  • 雑誌名: Pathobiology 巻: 89 ページ: 92-100
  • DOI: 10.1159/000520022.
  • 査読あり
• [雑誌論文] Comment on: Nailfold capillaries and myositis-specific antibodies in anti-melanoma differentiation-associated gene 5 antibody-positive DM. Reply (2022)
  • 著者名/発表者名: Tomohiro Sugimoto, Sho Mokuda, Hiroki Kohno, Michinori Ishitoku, Kei Araki, Hirofumi Watanabe, Tadahiro Tokunaga, Yusuke Yoshida, Shintaro Hirata, Eiji Sugiyama
  • 雑誌名: Rheumatology (Oxford) . 巻: 61 ページ: e122-e124
  • DOI: 10.1093/rheumatology/keab822.
  • 査読あり
• [雑誌論文] Nailfold capillaries and myositis-specific antibodies in anti-melanoma differentiation-associated gene 5 antibody-positive dermatomyositis (2022)
  • 著者名/発表者名: Tomohiro Sugimoto, Sho Mokuda, Hiroki Kohno, Michinori Ishitoku, Kei Araki, Hirofumi Watanabe, Tadahiro Tokunaga, Yusuke Yoshida, Shintaro Hirata, Eiji Sugiyama
  • 雑誌名: Rheumatology (Oxford) . 巻: 61 ページ: 2006-2015
  • DOI: 10.1093/rheumatology/keab681.
  • 査読あり