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2022 年度 実施状況報告書

廃用性筋萎縮の発生に関わるミトコンドリア・小胞体膜接触領域の機能解明

研究課題

研究課題/領域番号 19K18501
研究機関徳島大学

研究代表者

杉浦 宏祐  徳島大学, 病院, 助教 (60837243)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2024-03-31
キーワード廃用性筋萎縮 / ミトコンドリア / Mitofusin-2 / MAM / エネルギー代謝
研究実績の概要

筋萎縮発生時の機械ストレス感知機構において、ミトコンドリアと小胞体の近接領域であるMitochondrai-associated membrane(MAM)とそのアンカータンパク質であるMitofusin-2(MFN2)の機能に着目して検討した。
10日間の尾部懸垂による後肢免荷を行い廃用性筋萎縮を誘導した結果、ヒラメ筋において通常飼育群よりも筋萎縮誘導群で有意にMAMの形態数減少が確認された。
MAM構造の重要なアンカータンパク質であるMFN2が筋萎縮と関連しているかを解析するために、筋特異的MFN2欠損マウスを用いて同様の後肢免荷試験を行った。その結果MFN2欠損マウスは野生型マウスよりもヒラメ筋の筋萎縮が有意に増加した。また、MAM形態の変化について、MFN2欠損マウスのヒラメ筋は通常飼育環境では野生型マウスより有意に少ないのに比べ、後肢免荷後は野生型マウスに比較しても有意な変化は見られなかった。
また、経時的に筋萎縮誘導環境に晒された時のMAM形態について解析した。筋萎縮誘導1日後と10日後ではMFN2欠損マウス及び野生型マウスともに1日後でよりMAM数の減少が確認されたが野生型マウスにてより影響が大きく、MFN2は筋萎縮誘導初期のMAM構造の形態維持に重要な役割をしている可能性が指摘された。
現在、MAM形態に異常を来たしているMFN2欠損マウスの筋組織における代謝産物を検索してエネルギー代謝の特性の評価を進めている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

これまで後肢免荷試験を行い廃用性筋萎縮を誘導した結果、野生型マウスに比較して筋特異的MFN2欠損マウスではヒラメ筋の筋萎縮が進行する一方で、筋萎縮誘導慢性期におけるMAM数には有意な変化がなかった。一方で野生型マウスで筋萎縮誘導過程で経時的にMAM数の変化を確認すると、筋萎縮誘導初期では慢性期よりもより顕著にMAM数が減少することが明らかとなったが、筋特異的MFN2欠損マウスでは通常飼育状態から筋萎縮誘導過程でMAM数の変化が緩やかであることが明らかとなった。これはMFN2が筋萎縮誘導過程のMAM形態変化において一役を担っている可能性を示していると考えられる。
しかし同様の検討内容においても個体間での差異が大きいため実験に対するストレス耐性なども影響している可能性があり、実験日数の検討などで使用個体数が増えたため結果の解析、解釈に時間を要した。

今後の研究の推進方策

これまでの調査から筋萎縮誘導過程の特に初期においてMAM数の変化が野生型マウスでは見られ、筋特異的MFN2欠損マウスでは筋萎縮誘導前からMAM数が少ない影響もあり筋萎縮誘導過程においてMAM数の変化は野生型マウスほどは見られず、萎縮誘導初期のMAM形態変化にMFN2の機能の関与が考えられた。このため、MFN2発現の有無により骨格筋内でのエネルギー代謝がどのように変化しているのかを代謝産物の蓄積量や代謝酵素の発現量を解析して評価する予定である。

次年度使用額が生じた理由

国内外の研究会、学会がウェブ開催されたものもあり旅費をしようしなかったことと、使用機材の修理を要さなかったので次年度使用額が生じた。
今後は筋特異的MFN2欠損マウスと野生型マウスを筋萎縮誘導環境下で飼育した際のMAM形態変化とエネルギー代謝機構の関連の解析するためにメタボロミクス解析や代謝酵素の遺伝子発現を評価する予定である。

  • 研究成果

    (11件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (5件) 図書 (2件)

  • [雑誌論文] Advantages of Full-endoscopic Trans-Kambin's Triangle Lumbar Interbody Fusion for Degenerative Spondylolisthesis: Illustrative Cases2023

    • 著者名/発表者名
      MORIMOTO Masatoshi、TAMAKI Shunsuke、OGAWA Takayuki、FUJIMOTO Shutaro、SUGIURA Kosuke、TAKEUCHI Makoto、MANABE Hiroaki、TEZUKA Fumitake、YAMASHITA Kazuta、FUJITANI Junzo、SAIRYO Koichi
    • 雑誌名

      NMC Case Report Journal

      巻: 10 ページ: 87~92

    • DOI

      10.2176/jns-nmc.2022-0287

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Hemangioblastoma of the Cauda Equina: A Case Report and Review of the Literature2022

    • 著者名/発表者名
      Fujii Yugen、Nishisho Toshihiko、Tezuka Fumitake、Iwanami Akio、Yamashita Kazuta、Toki Shunichi、Morimoto Masatoshi、Sugiura Kosuke、Sakai Toshinori、Maeda Toru、Sairyo Koichi
    • 雑誌名

      The Journal of Medical Investigation

      巻: 69 ページ: 312~315

    • DOI

      10.2152/jmi.69.312

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Low Back Pain and Lumbar Degeneration in Japanese Professional Baseball Players2022

    • 著者名/発表者名
      Morimoto Masatoshi、Okada Ryo、Sugiura Kosuke、Manabe Hiroaki、Inokuchi Takashi、Tezuka Fumitake、Yamashita Kazuta、Takao Syoichiro、Fujitani Junzo、Sairyo Koichi
    • 雑誌名

      Orthopaedic Journal of Sports Medicine

      巻: 10 ページ: -

    • DOI

      10.1177/23259671221125513

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Transforaminal Full-endoscopic Discectomy for Gas-containing Herniated Nucleus Pulposus at L5-S1 Under Local Anesthesia: A Case Report2022

    • 著者名/発表者名
      Inokuchi Takashi、Tezuka Fumitake、Yamashita Kazuta、Morimoto Masatoshi、Sugiura Kosuke、Fujitani Junzo、Sairyo Koichi
    • 雑誌名

      The Journal of Medical Investigation

      巻: 69 ページ: 328~331

    • DOI

      10.2152/jmi.69.328

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 難治性Modic type 1 changeに対する全内視鏡椎間板内クリーニング手術2022

    • 著者名/発表者名
      杉浦宏祐、藤本秀太郎、森本雅俊、手束文威、山下一太、酒井紀典、前田徹、西良浩一
    • 学会等名
      第30回日本腰痛学会学術集会
  • [学会発表] 転移性胸椎腫瘍に対する姑息的手術の術式選択の検討2022

    • 著者名/発表者名
      杉浦宏祐、土岐俊一 、森本雅俊 、手束文威 、山下一太、 西庄俊彦 、高田洋一郎、酒井紀典 、西良浩一
    • 学会等名
      第55回日本整形外科学会骨軟部腫瘍学会学術集会
  • [学会発表] 小児脊椎疾患においてMRIでCT-like imageを撮像する意義2022

    • 著者名/発表者名
      杉浦宏祐、藤本秀太郎、小川貴大、森本雅俊、 手束文威、山下一太、酒井紀典、前田徹、西良浩一
    • 学会等名
      第25回日本低侵襲脊椎外科学会学術集会
  • [学会発表] 圧迫性頚髄症の手術後に残存した下肢痙縮に対する拡散型圧力波治療の応用2022

    • 著者名/発表者名
      杉浦宏祐、藤本秀太郎、小川貴大、森本雅俊、 手束文威、山下一太、酒井紀典、前田徹、西良浩一
    • 学会等名
      第139回中部日本整形外科災害外科学会学術集会
  • [学会発表] 腰椎椎間板嚢腫に対して全内視鏡下手術を施行した4例の治療経験2022

    • 著者名/発表者名
      杉浦宏祐、藤本秀太郎、小川貴大、森本雅俊、 手束文威、山下一太、酒井紀典、前田徹、西良浩一
    • 学会等名
      第25回日本低侵襲脊椎外科学会学術集会
  • [図書] 臨床整形外科 57巻11号 腰椎椎間板ヘルニアのCutting Edge 局所麻酔下経椎間孔アプローチによる全内視鏡下腰椎椎間板ヘルニア摘出術の実際2022

    • 著者名/発表者名
      杉浦宏祐、酒井紀典
    • 総ページ数
      7
    • 出版者
      医学書院
  • [図書] 臨床スポーツ医学 39巻7号 スポーツにもエビデンスを導入しよう-スポーツ動作や身体変化を客観的に評価する スポーツによる筋の変化を計測する2022

    • 著者名/発表者名
      杉浦宏祐、岩目敏幸
    • 総ページ数
      7
    • 出版者
      文光堂

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公開日: 2023-12-25  

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