研究課題/領域番号 |
19K18504
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研究機関 | 福島県立医科大学 |
研究代表者 |
富永 亮司 福島県立医科大学, 医学部, 講師 (20815170)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 高齢者 / 脊柱変形 / Quality of Life / 矢状面バランス / Sagittal Balance / Disability |
研究実績の概要 |
福島県只見町の50歳以上の地域在住住民を対象とした前向きコホート研究の付随データを用いて、高齢者の身体機能の一側面として表面化する矢状面バランスと健康アウトカムとしての疼痛特異的QOL尺度の詳細な関連性を検討した論文を「European Spine Journal」に発表した。 年1回の健康診断に参加した50歳以上の地域住民519名を対象とした。腰痛特異的QOLに関するRoland-Morris Disability Questionnaire(RDQ)を調査し、立位全脊柱X線検査で矢状面アライメントを評価した。各矢状面指標とRDQとの間の用量反応関係を推定した。 3つの矢状面アライメント指標(Pelvic Tilt:PT、Pelvic Incidence minus Lumbar Lordosis:PI-LL、Sagittal Vertical Axis:SVA)とRDQに対する用量反応関係のうち、PI-LLは特徴的な非線形関係を示した。特にRDQは、PI-LLが10°を超えると急激に悪化する。さらに、PI-LLに基づくSRS-Schwab分類のみが、RDQの悪化と関連していた。 PI-LLは、3つの矢状面アライメント指標の中で最も腰痛特異的QOLと関連する指標である可能性が示唆された。特に、腰痛特異的QOLは、矢状面アライメント異常に対する代償機構が閾値(PI-LL=10°)を超えると急激に悪化する可能性が示された。
地域在住高齢者において、身体機能の一側面として表面化する矢状面バランスの悪化とQOL低下との関連性について検討を行った。脊柱矢状面バランスや成人脊柱変形の正確な分類法や治療戦略の確立、ひいては健康アウトカムの予測のために、矢状面アライメントと腰痛特異的QOLの関連性についてのさらなる調査が必要と考えた
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現行で得られるデータから、地域在住高齢者の身体機能低下の表現型である矢状面バランスの悪化とQOL低下との関連性につついて、用量反応関係を示した。 10年間の長期の健康アウトカム・医療費のデータ使用について、データを管理する自治体とNPO法人に必要データの切り出し・提供を受けた。
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今後の研究の推進方策 |
10年間の長期の健康アウトカム・医療費のデータ使用について、データを管理する自治体とNPO法人に必要データの切り出し・提供を受け、今後解析・研究の発表を推進する。
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次年度使用額が生じた理由 |
長期(10年間)のアウトカムデータ(医療費・要支援・要介護データ)の解析・結果の取りまとめ・論文化・発表を行う予定であり、その際の費用も予定している。 COVID-19蔓延の状況もあり、研究成果・データの把握・解析に遅れが生じている
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