本研究は、腰部脊柱管狭窄症の発症メカニズムを解明するためにラット腰椎の棘間靭帯、椎間関節を手術により切除し、不安定性を誘導するラット黄色靭帯肥厚モデルを使用して解析することであった。最終年度に実施した研究成果としては、黄色靭帯を免疫染色を行い、解析した。発表されている先行研究では遺伝子発現レベルでは黄色靭帯肥厚には組織損傷、修復過程の異常が関与する可能性が報告されており、本研究ではたんぱく免疫染色により組織学的に検討した。手術群と対照群ではたんぱく異化酵素であるMMP13の発現が手術群で多く、血管新生のマーカーであるαSMAが手術群で長期にわたり発現が遷延することがみられ、不安定性が組織破壊をおこし、および修復過程での靭帯の通常以上の肥厚が行われる可能性が示唆された。 研究期間全体を通じて、腰部脊柱管狭窄症の発症メカニズムの研究に対して、本動物モデルは組織学的に黄色靱帯肥厚を確認でき、靭帯を組織学的に検討できることが示唆され、有用な研究であったと考えられる。
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