| 研究課題/領域番号 |
19K18508
|
|---|
| 研究機関 | 東京国際大学 |
|---|
研究代表者 |
戸島 美智生 東京国際大学, 人間社会学部, 講師 (10735442)
|
|---|
| 研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
| キーワード | 腰痛 / 腰部 / 股関節 / 発育期 / サッカー / 三次元動作解析 |
|---|
| 研究実績の概要 |
発育期サッカー選手には体後屈型腰痛症や腰椎分離症の発症が多い。発育期の大腿四頭筋タイトネス増加に伴う股関節運動の伸展制限や過剰な腰部伸展・回旋運動が腰痛や腰椎分離症を生じると考えられる。しかし、その発症要因や関連性は解明されていない。
令和元年度、本研究では、発育期男子中学生サッカー選手（67名）を対象に、三次元動作解析装置でキック動作を横断観察研究にて測定した。
その結果、重回帰分析ステップワイズ法より、シュート（ボール）速度を早くするためには、左右股関節回旋角度と重心高が関係していた。また、ロジスティック回帰分析より、腰痛発症要因として蹴側股関節屈曲角度と左右股関節外転角度が有意に関係していた。これらの要因は、キック動作中の蹴側股関節最大伸展時期で腰痛発症と関係していた。さらに、この最大股関節最大伸展時期では、腰痛非発症群と比較して、腰痛発症群では股関節伸展角度が有意に小さく、股関節外旋角度が小さい傾向であった。さらに、蹴側股関節最大屈曲時期では、非腰痛群では重心が高い者ほど、また重心が前へ移動している者ほどボール速度が速い相関関係であったが、非腰痛群ではこれらの関係がなかった。
これらの結果から、腰痛を1年後に発症する群では、腰痛発症前におけるキック動作時の股関節伸展時期に股関節運動が小さく、代償として腰部伸展運動が大きくなり、腰部への負荷を大きくするという仮説を立てた。
これらの結果は、Annual Meeting of the European Society for Movement Analysis in Adults and Children (ESMAC) 2019にてOral発表を行った。現在は報告内容をまとめ、国際雑誌へ論文投稿中である。
|
| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上記の横断調査内容は国際雑誌に投稿中である。しかし、多くの研究協力者を測定できなかったため、今後も継続して研究協力者を募集して増やしていく必要がある。
|
| 今後の研究の推進方策 |
令和元年度に得られた結果から、腰痛を1年後に発症する群では、腰痛発症前におけるキック動作時の股関節伸展時期に股関節運動が小さく、代償として腰部伸展運動が大きくなり、腰部へ過負荷を大きくするという仮説を立てた。この仮説を元に、令和2年度では、上記選手を対象に三次元動作解析装置を用いてキック動作を測定し、腰痛発症有無で縦断観察研究を行い、腰痛発症要因を解明する予定である。測定時期は、新型コロナウィルスによる緊急事態宣言が解除され、測定許可が下りてから慎重に安全性を考慮して実施する予定である。また、令和2年度は昨年度に測定したデータから未使用データを抽出し、その内容をさらに詳細解析し、研究活動を継続する。
|
| 次年度使用額が生じた理由 |
初年度に設備備品として計上していた三次元動作解析用のPCと解析ソフト、統計解析ソフトについて、初年度は長年使用し続けた自身のWindows 7 PCで解析した。しかし、Windows 7サポート終了と同時にPCが故障したため、令和2年度にPCを購入する予定である。
|
