研究課題
2020年度までに確立した高マンノース型糖鎖分解酵素に基づく軟骨変性の系において、マウス軟骨を用いたN-glycomeを行い、N型糖鎖のコアフコシル化が起きていることを同定した。N 型糖鎖の根元にα1,6 フコースを転移する糖転移酵素はフコース転移酵素ファミリーにおいてFut8のみであるため、軟骨におけるFut8の役割を検討するために、Cas9ゲノム編集法により軟骨特異的にFut8を欠失するコンディショナルノックアウトマウス(FUT8loxP/loxP - Col2a1Cre+/-マウス)を作製した。作出したマウスの軟骨でN-glycomeを実施するとコアフコシル化N型糖鎖の消失を認め、軟骨でのFUT8 遺伝子発現を軟骨細胞mRNA 由来cDNA を鋳型に用いリアルタイムPCR 定量法で検討したところ、FUT8遺伝子発現は野生型マウスに比して99%以上減弱していることが判明した。Fut8コンディショナルノックアウトマウスは野生型マウスより小型に生育するものの、四肢の短縮や胸郭の矮小化のような骨格形成への明確な表現型は認めなかった。Fut8コンディショナルノックアウトマウスの関節軟骨を高マンノース型糖鎖分解酵素に基づく軟骨変性の系へ供したところ、野生型マウスと同様に軟骨のOA化を認めた。しかし、野生型マウスが分解酵素を取り除いた後に軟骨変性から回復するのに対し、Fut8コンディショナルノックアウトマウスでは変性が促進され、失われたグリコサミノグリカンを補填する能力の欠如を示唆した。Fut8コンディショナルノックアウトマウスの膝関節にメカニカルストレスを加える実験モデルではOAが増悪し、関節の加齢に伴う変化を追跡したところ、OAが早期化することが明らかとなった。
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