研究実績の概要 |
高齢者の腰痛症例22例(男性3例、女性19例)を対象として、本歩行解析を実施した。平均年齢は71±6.7歳であった。歩行負荷は、直線10mと半円2.5mで1周約25mのオーバル型コースを用いて疼痛により継続困難となるまで平地連続歩行を行った。三次元動作解析システムはVICON MX system (VICON社, Oxford, UK)を用いた。筋電図解析には無線表面筋電計Delsys Tringo Lab. System (Delsys, Boston, MA, USA)を用いた。 脊椎矢状面角度SSAは胸椎で歩行開始時33.2°±14.1/歩行最終時37.9±16.0°、腰椎は9.2±11.8°/ 11.9±13.0°、全脊椎は26.1±11.3°/ 30.5±13.1°であった。脊椎冠状面角度SCAは胸椎で3.4±7.4°/ 3.8±7.6°、腰椎は3.9±8.2°/3.9±8.7°、全脊椎は3.3±5.4°/ 3.7±6.4°であった。脊椎の矢状面角度は有意に後弯が連続歩行により増大した。骨盤矢状面角度PSAは3.5±7.6°/ 5.7±8.6°、骨盤冠状面角度PCAは2.0±4.5°/ 2.6±4.6°であった。骨盤矢状面角度で連続歩行により有意に骨盤が前傾した。筋活動では、広背筋1.94±1.95/ 1.70±1.11(x10-5)、腰部脊柱起立筋1.69±1.12/ 1.50±0.86(x10-5)、大殿筋4.96±11.3/ 7.63±9.29(x10-6)であった。連続歩行により有意に大殿筋筋活動が増加した。 連続歩行により脊柱と骨盤の前傾が増加し、大殿筋筋活動が有意に増加した。立位で機能している脊柱変形に対する代償が連続歩行により破綻した状態を定量的に評価が可能であった。
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