血液凝固線溶系遺伝子改変マウスを用いて、In vivoでの異所性骨化モデルを作成した。具体的には、マウスの下腿三頭筋にカーディオトキシン(ヘビ毒、以下CTX)を注射することにより、数時間で筋肉内石灰化を作り出した。レントゲンにて下肢の側面像にて確認できることを確立した。 過去の自験例において認められたように、今回の実験においても野生型マウスにおいては1,3,5,7日どの時期においても筋肉内石灰化は認めなかった。プラスミノーゲン欠損マウスにおいては1日からすでに石灰化を認め、3,5,7日も持続的に石灰化を認めた。プラスミノーゲン欠損ヘテロマウスにおいては、1,3,5,7日に石灰化を認めはするものの、ノックアウトマウスとの比較ではその面積は少なかった。さらに受傷筋肉を摘出し、組織学的にも評価した。結果、野生型マウスにおいては、注射後筋肉内炎症細胞が遊走している切片を認めたものの、筋肉の再生を多く認めた。一方プラスミノーゲン欠損マウスにおいて、初期の段階から筋肉の壊死、ならびに石灰化と認めていた。さらに一部軟骨様組織がけいせいされており、その軟骨組織周囲ならびに、石灰化組織の周辺にはマクロファージや破骨細胞(TRAP染色)、さらに骨芽細胞用のLining Cellの存在を認め、骨形成(異所性骨化)の可能性を認めた。現在、このモデルをさらに確立する(個体差が出ないように手技的な技術の確立)ことを目標として、そのモデルを用いて、高圧酸素治療を行っている。その治療の結果の検証のため、レントゲン検査ならびにその挫傷筋肉の組織学的形態の変化などを検証している。
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