研究課題/領域番号 |
19K18535
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
岡崎 成弘 長崎大学, 病院(医学系), 助教 (60623791)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 骨粗鬆症 / 骨微細構造 |
研究実績の概要 |
HR-pQCT(High Resolution peripheral Quantitative CT)とは,ヒト生体に使用できるCTとしては世界最高の解像度(通常のCTの約10倍)を有する四肢用の定量的CTである.このCTを用いる事で,今まで不可能だったヒト生体の骨微細構造(海綿骨の骨梁構造や皮質骨の多孔性など)のin vivo解析が初めて可能となった. 本研究では、日本人男性の皮質骨および海綿骨の微細構造を,HR-pQCTを用いて解析する.また,力学シミュレーションを行い,骨強度の測定を行う.さらに,患者背景(栄養,運動,家族歴)や合併症の調査,DXAによる骨密度測定,血液検査なども行い,骨微細構造の脆弱化に関与する因子を横断的に解析する.2019年度は,20歳~90歳の日本人男性250名を研究参加者として登録し,以下の問診および検査をおこなった.1)問診:背景情報(年齢,身長,体重,運動習慣,喫煙歴,アルコール摂取量,基礎疾患など) ,2)単純X線検査: 胸腰椎単純X線を撮影し,椎体脆弱性骨折の有無,重症度を判定,3)骨密度検査: dual-energy X-ray absorptiometry(DXA)により腰椎・大腿骨の骨密度を測定,4)血液検査: 血清カルシウム,骨代謝マーカー,25-ヒドロキシビタミンD,テストステロン,エストロゲン値,その他の一般的な血液検査項目の測定,5)HR-pQCT撮影:対象の橈骨遠位部,脛骨遠位部を,HR-pQCT撮影の標準プロトコルに従って,ボクセルサイズ60μmで撮影. 2020年度は,20歳~90歳の日本人男性250名のHR-pQCT画像データから,骨微細構造解析ソフトウェアを用いて,全骨領域,皮質骨領域,および海綿骨領域の抽出を行い,骨密度および骨微細構造を計測した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
HR-pQCTの画像データから,骨微細構造解析ソフトウェアを用いて,骨密度および骨微細構造の解析作業を行い,全例完了した.次年度は,力学シミュレーション解析(有限要素解析)を行う予定である.
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今後の研究の推進方策 |
有限要素解析ソフトウェア(TRI/3D-FEM,Ratoc System Engineering)を用いて,シミュレーション環境で骨折を発生させ,予測骨強度を解析し,加齢による骨強度の変化を検証する.骨微細構造および予測骨強度の脆弱化に関与する因子について,下記項目との関係を解析する.1)背景情報(年齢,身長,体重,運動習慣,喫煙歴,アルコール摂取量,基礎疾患),2)椎体脆弱性骨折,3)DXAによる腰椎・大腿骨の骨密度,4)血清カルシウム,骨代謝マーカー, 25-ヒドロキシビタミンD,テストステロン,エストロゲン
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次年度使用額が生じた理由 |
当該年度に有限要素解析用のパソコンの導入,ソフトウェアの導入および更新を予定していたが,次年度以降に有限要素解析を行うこととし,購入を見送ったため,次年度使用が生じた. 次年度には解析用パソコンの購入,ソフトウェアの導入および更新,HR-pQCTの保守費,成果発表の経費に使用予定である.
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