HR-pQCT (High Resolution peripheral Quantitative CT) は,ヒト生体に使用できるCTとしては最も高い解像度(通常のCTの約10倍)を有する四肢用の定量的CTである.このCTを用いる事で,今まで不可能だったヒト生体の骨微細構造(海綿骨の骨梁構造や皮質骨の多孔性など)のin vivo解析が初めて可能となった.本研究では,日本人男性の皮質骨および海綿骨の微細構造をHR-pQCTを用いて解析した.さらに,患者背景や合併症の調査,DXAによる骨密度測定,血液検査なども行い,骨微細構造の脆弱化に関与する因子を横断的に解析した.20歳から90歳の日本人男性250名を研究参加者として登録し,以下の問診および検査をおこなった.1)問診:背景情報(年齢,身長,体重,運動習慣,喫煙歴,アルコール摂取量,基礎疾患など),2)単純X線検査:胸腰椎単純X線を撮影し,椎体脆弱性骨折の有無,重症度を判定,3)骨密度検査:dual-energy X- ray absorptiometry (DXA) により腰椎・大腿骨の骨密度を測定,4)血液検査:血清カルシウム,骨代謝マーカー,25-ヒドロキシビタミンD,テストステロン,エ ス トロゲン値,その他の一般的な血液検査項目の測定,5)HR-pQCT撮影:対象の橈骨遠位部,脛骨遠位部をHR-pQCT撮影の標準プロトコルに従って,ボクセルサイズ60μmで撮影し,20歳~90歳の日本人男性250名のHR-pQCT画像データから,骨微細構造解析ソフトウェアを用いて,全骨領域,皮質骨領域,および海綿骨領域の抽出を行い,骨密度および骨微細構造を計測した.年齢,血液検査などと骨密度および骨微細構造との関係について統計学的解析を行った.
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