研究課題/領域番号 |
19K18539
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研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
高橋 恒存 自治医科大学, 医学部, 講師 (80781301)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 内側側副靭帯 / 人工靭帯 / 大動物モデル / 生体力学的評価 |
研究実績の概要 |
以下の術式を施行して、術後4週において生体力学的に比較した。1内側側副靭帯修復術群(9頭):全身麻酔下に右膝関節内側に縦皮切を起き、皮下軟部組織を 剥離して内側側副靭帯を露出し、近位付着部をメスで鋭的に切離する。切離後に断端をスーチャーアンカーと非吸収糸で縫合し、閉創する。2人工靭帯を用いた 内 側側副靭帯補強修復術群(7頭):内側側副靭帯修復術群と同様の手術を行ったあとで大腿骨側および脛骨側の解剖学的付着部に4.5 mm径のドリルを用いて骨孔を作成し、医療用ポリエステル製のテープ状人工靭帯を挿入し、スクリュー固定を行った後閉創する。 術後4週に安楽殺させ、膝関節周囲の筋肉、内側側副靭帯以 外の靭帯、半月板、関節包をすべて切除した大腿骨-移植腱-脛骨複合体を作成した。生体力学試験 は力学試験機を用いて張力が内側側副靭帯に対して平行にか かるように設定し、プレコンディショニング後にクロスヘッド速度50 mm/分で破断させた。調査項目 は引張試験での最大破断強度、線形剛性、破断伸びを荷重 延び曲線から算出した。【結果】破断様式は内側側副靭帯修復術群が全例靭帯付着部裂離であったこと に対して、人工靭帯を用いた補強修復術群では全例が靭 帯実質部断裂であった。引張試験での最大破断強度 (250.1 ± 63.1 N vs 229.3 ± 112.0 N) 、線形剛 性(26.9 ± 14.3 N/mm vs 32.9 ± 21.6 N/mm)、破断伸 び(13.4 ± 5.8 mm vs 13.2 ± 10.8 mm)に関して修復術群対補強修復術群で有意差を認めなかった。 【結論】人工靭帯を用いた補強は内側側副靭帯修復術後の 構造特性を改善させなかったが破断様式が変化した。 上記結果をJ Orthopaedic Science誌に投稿しアクセプトされた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究成果(Takahashi T, Kubo T, Kimura M, Takeshita K. Internal bracing with an artificial ligament for superficial medial collateral ligament injury impairs the mechanical property of repaired native ligament: A porcine study. J Orthop Sci. 2021 Sep;26(5):915-918. doi: 10.1016/j.jos.2020.08.012. Epub 2020 Sep 16. PMID: 32948405.)から現在さらに人工靭帯の素材特性の差が修復靭帯の構造特性に与える影響について研究を進展させているため。
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今後の研究の推進方策 |
大動物モデルを用いた膝内側側副靭帯補強修復術に対して人工靭帯の素材特性が与える影響の評価について研究を継続しており、ブタ両側内側側副靭帯損傷モデルを作成し、ポリエステル製人工靭帯と超高分子量ポリエチレン人工靭帯を使用して、術後4週において生体力学的、組織学的に比較している。2022年5月現在10頭予定中8頭の実験が終了している。
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次年度使用額が生じた理由 |
大動物モデルを用いた膝内側側副靭帯補強修復術に対して人工靭帯の素材特性が与える影響の評価のため、動物実験用の家畜ブタ購入のため次年度使用額が生じました。
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