研究課題/領域番号 |
19K18543
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
小池 正人 順天堂大学, 医学部, 非常勤助教 (70767574)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 変形性関節症 / SOD / バイオマーカー |
研究実績の概要 |
末期膝OA 患者の血清、関節液、軟骨、滑膜におけるSOD 活性値の関連性を検討すべく、人工膝関節全置換術を施行する末期膝OA 患者の血清、関節液、軟骨、滑膜におけるSOD 活性の測定を行ない、各測定試料ごとの関連性を評価することとした。いずれの試料も人工膝関節全置換術(TKA)を受けた末期の膝OA患者から採取した。軟骨と滑膜は、生検鉗子で膝蓋大腿関節の外側から採取した。SOD活性はSOD assay kit(Cayman Chemicals)で評価した。マロンジアルデヒド(MDA)レベルは脂質過酸化分解生成物の酸化ストレスマーカーとして、MDA assaykitを用いて評価した。 末期膝OA患者における滑膜のSOD活性は軟骨のSOD活性に比べ有意に高かった。また関節液のSOD活性は滑膜中のSOD活性と正の相関があった。関節液のSOD活性が高ければ、滑膜のSOD活性も高いことを予測しうる。血清MDAは関節液MDAに比べ有意に高かった。血清MDAと関節液MDAの間には正の相関があった(p=0.643, p=0.001)。しかしながら関節液MDAと組織(滑膜および軟骨)のMDAの間に相関関係はなかった。また血清MDAと滑膜MDAの間に相関関係はなかった。今回の結果から滑膜と軟骨のSOD活性の関連性を見出すことができたが、MDAはバイオマーカーになりにくいことが示唆された。血清や関節液から軟骨や滑膜のSOD活性を予測するにはさらなる解析が必要である。引き続き検体を採取し、今後SOD活性とSOD2活性の関連性を評価することで、バイオマーカーの手掛かりを探る。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウィルス感染拡大に伴い、手術症例が集まるスピードに遅れを生じているため。また海外からのキット輸入にも時間を要したため。
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今後の研究の推進方策 |
酸化マーカーであるMDAを探るよりもSOD活性に着目したほうがバイオマーカーとしての役割を見出せそうであるため、SOD活性とSOD2活性を同時に評価することでSODとSOD2の相関関係を探っていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルス感染に伴う医療従事者の行動制限により、手術症例の確保が想定以上に少なかったため、解析用の検体が思うように集まらなかったことで検査費を使用できなかったこと、また論文化に向けた情報収集の目的のために出席予定だった国内外の学会に出席できなかったこと、当初の予定だった論文化が遅延しているために、国際雑誌への英文校正費および投稿料の使用を年度内にできなかったことで予算が持ち越しとなった。 SODの解析には外部委託業者への依頼で実施している。先方での解析用の費用に追加があれば、その代金に充てる。また、解析用の手術症例数にめどがつきそうであるため、解析に区切りがついたら、国際誌への投稿費用(英文校正費、論文掲載料)へ充てる予定。
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