研究課題/領域番号 |
19K18544
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研究機関 | 昭和大学 |
研究代表者 |
石川 紘司 昭和大学, 医学部, 講師 (40794946)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 整形手術 / 脊椎固定手術 / 骨粗鬆症 / 有限要素解析 / 薬物療法 / 投薬中断 / 骨癒合 |
研究実績の概要 |
脊椎固定術で良好な成績を獲得するには強固な固定が重要となる。過去の報告によると、スクリューのlooseningは0.6-27%に起こっているおり、超高齢社会でさらなる増加も予想される。近年のReview でPTH製剤は脊椎手術に有用と報告されたが、他剤の検討は不十分でさらなる研究が求められている。そのような背景もあり、本年は主に骨吸収抑制剤(Denosumab)と脊椎手術の影響について検討した。患者CTデータを用いて有限要素解析を行った結果、Denosumabは脊椎手術で使用する椎弓根スクリューの固定力を上昇させることが初めて示唆された(引き抜き強度:治療前400N→1年治療後480N)。さらに、椎体圧縮強度の上昇も同様に確認され、脊椎固定術後の隣接椎体骨折予防にも有用と考えられた(椎体圧縮強度:治療前3817.8N→1年治療後3298.3N)[Tani S, Ishikawa K: J Orthop Surg Res. 2021]。また、Denosumabが骨癒合に及ぼす影響も基礎的に併せて検討しており、現段階でBMP-2との相乗効果も認めていることが確認された。さらに、Denosumab投薬中断後のRebound現象の影響も臨床・基礎の両面より検討している。 その他の薬剤では、新たに登場したRomosozumabの脊椎手術における影響を検討している。概ね、25例程度の解析は既に終了しており、本年度中に結果をまとめて発表する予定である。現在のところ、投薬開始後3ヶ月で手術に関する解析結果が有意に変化することが分かってきた。他剤と比しても早急に効果が期待できる薬剤と考えており、今後の結果は興味深い。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究計画のうち、一部は発表済である。さらに、基礎的にも骨粗鬆症薬物療法と骨癒合の興味深い結果が得られており、さらなる解析を推進していく予定である。また、本邦で世界で初めて承認されたRomosozumabの有限要素解析も順調に進んでおり、今後も様々な薬剤を多面的に検討していく予定だ。当初の予定よりも基礎的な検討も行えていると考えている。本年も包括的に解析を進めていく。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度はDenosumabの骨癒合に関する検討、さらには投薬中断の影響を基礎・臨床の両面より検討し、発表する予定である。さらに、新たに登場したRomosozumabの整形手術への影響も有限要素解析を用いて様々な視点で解析していく予定である。2021年度の研究を円滑に進めていくために、データ整理にあてる人員を増員しており、予定通りに研究を進めていきたいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年度はCOVID-19パンデミックの影響もあり、物品や人件費の調達が難しい部分があった。それ以外にも各種学会は全てWebでの参加となったため、予定していた旅費の支出もなかったため、差額が生じた。2021年度は、人員の調達をより早期に始め、イレギュラーの対応にも早めに備える予定である。
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