研究課題
アルデヒド脱水素酵素2(ALDH2)はアルコール代謝の中でアセトアルデヒドを酢酸へ分解する酵素である。ALDH2遺伝子には遺伝子多型があり、変異型ALDH2遺伝子は日本において45%の頻度でみられ、骨粗鬆症のリスクであることが報告されている。本研究の目的は、通常のCTよりも10倍解像度が高い高解像度CT検査(HR-pQCT)を用いて橈骨、脛骨遠位部の骨微細構造のALDH2遺伝子多型における違いを明らかにすることである。正常型ALDH2遺伝子保有者と比較し、変異型ALDH2保有者では脛骨の海綿骨骨密度(Tb.vBMD)、骨梁体積密度(BV/TV)、骨梁幅(Tb.Th)が低い傾向であった。脛骨皮質骨、橈骨海綿骨、橈骨皮質骨に違いはなかった。脛骨と橈骨ともに皮質骨多孔性の違いはなかった。DXA法による骨密度評価では、変異型ALDH2保有者は腰椎・大腿骨頚部の骨密度が低い傾向であったが、海綿骨スコア(trabecular bone score)は同等であった。骨代謝マーカーであるP1NP(1型プロコラーゲン-Nプロペプチド)やTRACP-5b(骨型酒石酸抵抗性酸性フォスファターゼ)も同等で、体内ビタミンD濃度を反映する25ヒドロキシビタミンD濃度は、変異型ALDH2遺伝子保有者で高い傾向にあった。本結果から、変異型遺伝子ALDH2保有者では、非荷重骨である上肢より荷重骨である下肢の海綿骨の骨微細構造の低下がある可能性が考えられ、変異型ALDH2遺伝子保有者である日本人における骨折予防に貢献できると考えられる。
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