研究課題/領域番号 |
19K18567
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研究機関 | 福島県立医科大学 |
研究代表者 |
片岡 政雄 福島県立医科大学, 医学部, 講師 (90554204)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 膀胱癌 / リゾリン脂質 / 浸潤 / 再発 / Rho |
研究実績の概要 |
これまでの検討により、筋層浸潤性膀胱癌におけるリゾフォスファチジン酸受容体1(LPA1)の発現亢進を免疫組織化学染色法、定量的リアルタイムPCR法により確認し報告してきた。 LPA1を発現するヒト膀胱癌細胞株T24ではLPA投与によりROCK1、リン酸化MYPT1、リン酸化MLC発現亢進とラメリポディアの形成が認められることを確認した。さらにLPA1阻害剤、およびLPA1ノックダウンによりこれらが抑制されることを確認した。また、LPAによりT24膀胱癌細胞株の浸潤能が亢進すること、LPA受容体阻害剤やノックダウンにより浸潤能は抑制されることを確認した。LPAが浸潤能亢進に関与していることが明らかになった一方、細胞増殖アッセイの結果によるとLPAは細胞増殖には影響を及ぼさない可能性が示唆された。 今回、ヒト膀胱癌細胞株T24を用いたRho Activation Assayを行い、LPAによるRhoの活性化について検討中である。LPA投与によりRhoが活性化する傾向があり、LPA1阻害剤、ノックダウンにより活性化の抑制を確認中である。 また、筋層非浸潤性膀胱癌症例におけるLPA1発現解析も行った。免疫組織化学染色、および定量的リアルタイムPCRにより筋層非浸潤性膀胱癌をLPA1陽性群、陰性群の2群に分けて検討を行ったところ、LPA1陽性群はLPA1陰性群に比べ有意に非再発率が低い結果が得られた。筋層非浸潤性膀胱癌症例において経過中に進展を認めた症例が少なく、LPA1発現と進展につついては現時点では相関は認められなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ヒト膀胱癌細胞株を用いた細胞増殖や蛋白発現解析を行いPI3K/Akt/mTORシグナルやMAPK/Erkシグナルとの関連についての解析は現在試薬の準備を行い解析準備中である。 また、膀胱癌モデルの作成と膀胱癌の発癌、進展に関わるLPA受容体機能解析:C57BL/6マウスに0.05%N-butyl-N(4-hydroxybutyl)nitrosamine(BNN)を含む飲水を継続させることにより膀胱内に発癌させるモデル(Int J Cancer.2010;127:1180-7)を用いて、LPAによる進展、発癌メカニズムの解明を行うための準備、計画を行っているところである。LPA膀胱内注入や、LPA受容体ノックアウトマウスとコントロール群とでの膀胱局所、肺、肝臓、上部尿路の癌発生や組織学的変化を比較検討準備中である。
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今後の研究の推進方策 |
LPA受容体下流シグナルの解明、および尿路上皮癌組織におけるLPA受容体発現解析は順調に検討が進められている。Rho/ROCK経路の関与は明らかになりつつあるが、さらに解析を行いPI3K/Akt/mTORなどの経路にも着目して検討を継続する。 C57BL/6マウスに0.05%N-butyl-N(4-hydroxybutyl)nitrosamine(BNN)を含む飲水を継続させることにより膀胱内に発癌させるモデル(Int J Cancer.2010;127:1180-7)は確立されたモデルであり、準備を整えたうえで作成にあたる。また当科に報告してきたヒト膀胱癌細胞株T24移植モデル作成のため膀胱癌細胞株の準備、LPAノックダウンの準備を進める。円滑にこれらの研究を遂行するために、当科の実験動物研究班の指示、協力も得つつ進めていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
使用予定の試薬を購入するため。
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