研究課題
背景:脳梗塞は難治性の頻尿を高頻度に呈するため新規治療の開発が急務である。これまで汎用されてきた中大脳動脈閉塞モデルラットは致死率が高い欠点がある。そこで、光化学反応であるphotothrombosisを応用して新たな脳梗塞による頻尿モデルラットの作成を試みた。対象と方法:Wistar/STラットの頭蓋骨上のbregmaから1mm前方で8mm径光源を設置した。Photothrombosis群ではrose bengal(30mg/kg)を尾静注した後に光源から560nm波長のハロゲンレーザーを30分間照射した。Sham群では生食を尾静注して同様の手技を施行した。Pilot studyとして処置後1日目に2,3,5-triphenyl tetrazolium chloride (TTC)染色を行い、脳梗塞領域の部位と体積を評価した。各群において処置前、処置後1、7、14、28日目で排尿間隔と排尿圧を比較した。また、脳虚血領域におけるグリア細胞の活性を調べた。結果:処置後にラットは全例生存していた。TTC染色では全てのphotothrombosis群の前帯状皮質と大脳皮質前頭葉が脳梗塞となっていることを確認した。脳梗塞体積147.1±24.1 mm3であった。Sham群では脳梗塞を認めなかった。排尿間隔はphotothrombosis群において、脳梗塞後1日目と7日目でsham群より有意に短かった。しかし、14日目以降は差を認めなかった。排尿圧は2群間で差を認めなかった。Photothrombosis群では脳虚血領域におけるグリア細胞が脳梗塞後1日目から活性化していた。脳梗塞後に致死したラットはいなかった。結論:本研究で私たちはphotothrombosisを応用して脳梗塞による新たな頻尿モデルを作成した。
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PLoS One
巻: 16 ページ: 11
10.1371/journal.pone.0255200.