研究実績の概要 |
In vivoにおいて、オートファジー可視化マウスにグリオキシル酸(GOX)投与により結石を形成させ、オートファジーの選択性を、オルガネラと、ユビキチンタンパク、リン酸化p62の2重免疫染色で、GOXにより傷害されたオルガネラがポリユビキチンにより標識され、オートファジーにより選択的に除去されることが前回の研究から分かったため、mTOR活性の上昇によるオートファジー活性の低下が結石形成の起点となる可能性が示唆された。さらに、mTOR活性の上昇として細胞内に生じるROSがその上昇の一因となることもわかった。以上のことからmTOR阻害薬を用いた結石抑制効果につき、In vitro, In vivoで検討することとした。結果として、mTOR阻害薬の投与により細胞内のオートファジーが活性化され、それに伴い、細胞内にある多数の傷害オルガネラがオートファジーにより処理され、細胞内の酸化ストレスや炎症が抑制されることがわかった。結果として、マウスの腎結石形成初期においてmTOR阻害薬の投与が優位に結石形成を抑制することがわかった。しかしながらGOXの細胞障害が強くなると、オートファジーのcapacityを超えてしまい、mTOR阻害薬投与でも細胞障害が抑制されず、結石形成も抑制されなかった。腎結石患者において、同様にオートファジー活性を調べたところ、結石形成部位ではオートファジーが有意に低下していることもわかった。
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