研究実績の概要 |
尿路結石形成に必須とされている1つがオステオポンチン(OPN)である。これまでに、OPNが糖タンパク質であるにも関わらず、尿路結石の研究分野においてOPNの糖鎖構造の変化やその糖鎖機能と結石形成との関連についての研究はない。 現在までに、後ろ向き研究から尿路結石患者と健常者の尿中OPN濃度をELASA法で測定し、尿中OPN糖鎖をレクチンブロッティングおよびレクチンアレイにて検索した。尿路結石患者は健常者と比べ尿中OPN濃度は有意に減少した(p<0.001) 。一方、Gal3C-Sレクチン反応性OPN(ポリラクトサミン構造を有するムチン型O結合型糖鎖に修飾されたOPN, Gal3C-S-OPN)は尿路結石患者で有意に増加したことから尿路結石患者の尿中OPNの糖鎖構造変化が明らかとなった(p<0.001)。Gal3CSOPN とOPN濃度から尿路結石患者を感度90%、特異度92%(AUC0.953)で予測可能であった。また、前向き研究にて、尿路結石患者の手術前後の尿を採取し、尿中OPN濃度および尿中OPNの糖鎖変異を検索した。後ろ向き研究から得られたGal3C-S-OPNより尿路結石を感度90%で予測できる値をcut off値としたところ、手術後残石なし群では92.8%でGal3C-S-OPNがcut off値を下回り、手術後残石あり群では71.4%でGal3C-S-OPNがcut off値を上回った。 このことから尿路結石の有無とGal3C-S-OPNが関連していることが判明し、OPNと尿路結石形成に関連するOPN糖鎖変異に関する新たな知見として、Int J MolSci. 2019;21(1)に報告した。 現在、結石モデルラット、マウス、ヒト近位尿細管細胞を使用し、腎臓皮質内、髄質内、血液中、尿中のオステオポンチン踏査変異を検索中である。
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