研究課題
局所進行性もしくは転移性の尿路上皮癌(膀胱癌や腎盂尿管癌)は予後不良の疾患であるため、早期発見が重要である。しかし正確な診断には膀胱鏡・尿管鏡などの侵襲的な検査が必要であり、低侵襲かつ有効なバイオマーカーは開発されていない。更に治療においても適切な患者選択や治療効果予測は極めて重要であるが、治療効果を予測するバイオマーカーも開発されていない。このような状況下、患者の全身状況のモニタリングが可能となるLiquid biopsyが近年普及してきており、研究段階ではあるがいくつかの癌種で血清糖鎖の網羅的解析、Cell free DNA (cfDNA)、Circulating tumor Cell (CTC) を用いた診断や治療効果予測なども行われている。このことからLiquid biopsyによる診断や治療効果予測マーカーの実用化は治療効果向上および医療費軽減につながる可能性があり、その開発は急務である。令和元年度は、尿路上皮癌患者の治療前血清を用いて、網羅的糖鎖解析装置による尿路上皮癌患者の血清糖鎖プロファイリングを行った。その結果、尿路上皮癌によく反応するレクチンが同定された。それらレクチンから免疫グロブリン関連糖鎖の変化が示唆されたため、まずは免疫グロブリンに焦点を当て、糖鎖構造を検討中である。また健常コントロール群と尿路上皮癌患者の末梢血検体からcfDNAを抽出し、糖転移酵素遺伝子の発現を検出可能か検証を開始した。現在尿路上皮癌患者30名、健常人30名程度の検体が集まっており、今後検体を追加し糖鎖関連遺伝子発現の検討を開始する。
2: おおむね順調に進展している
令和元年度は、尿路上皮癌患者の治療前血清を用いて、網羅的糖鎖解析装置による尿路上皮癌患者の血清糖鎖プロファイリングを行った。その結果、尿路上皮癌によく反応するレクチンが同定されている。また健常コントロール群と尿路上皮癌患者の末梢血検体からcfDNAを抽出し、糖転移酵素遺伝子の発現が検出可能かどうか検討している。現在尿路上皮癌患者30名、健常人30名程度の検体が集まっており、今後追加し検討を開始できる見込みである。以上より、おおむね順調に進展していると思われる。
今後は検体数を増やし、尿路上皮癌患者の治療前血清を用いて、網羅的糖鎖解析装置による尿路上皮癌患者の血清糖鎖プロファイリングを行い、免疫グロブリンの糖鎖構造変異について調査を行う予定である。また健常コントロール群と尿路上皮癌患者のcfDNAから、糖転移酵素遺伝子の発現の検討を行う。今後も症例数を増やす予定である。
すべて 2020
すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件)
Clin Exp Nephrol
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10.1007/s10157-019-01820-8
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