研究課題/領域番号 |
19K18581
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
後藤 崇之 京都大学, 医学研究科, 助教 (90806605)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | 前立腺癌 / オルガノイド / 創薬 |
研究実績の概要 |
多様性のあるCRPCの病態研究において細胞株は十分に臨床病態を反映したモデルとは言えないため、我々は複数の特徴的なCRPC患者由来PDXモデル (KUCaPs) を樹立してきた。しかし、PDXは遺伝子操作やドラッグスクリーニングが困難であるという欠点があるため、それらの実験手法も可能なオルガノイドに着目した。前立腺癌の分野においてはPDXもオルガノイドも樹立が困難であったため、世界的にも報告は限られている が、我々は既に複数のPDXを有し、ARTA耐性のPDXも作成している。また、「創薬拠点コアラボ」には約2500種類の既存薬および機能既知化合物を保有しており、これらを用いたハイスループットドラッグスクリーニングが可能である。上記を組み合わせることで、難治性CRPCの新たな治療法および患者個別の治療法の開発を目的とする。去勢抵抗性前立腺癌に対する新たな治療戦略開発が現在必要とされており、中でも前立腺癌の多様性を反映した患者由来ゼノグラフト(PDX)を用いた治療薬探索の重要性が説かれている。当研究室が保有する複数種類のPDXを用いてオルガノイドを作成することで、これまでPDXでは困難とされていたハイスループットなドラッグスクリーニングを可能とし、去勢抵抗性前立腺癌の新規治療薬の開発を目的として実験を進めてきた。 2019年度としては、1.去勢後やARTA投与後に抵抗性獲得したPDXから、確立済みのプロトコールに従い前立腺癌PDX由来オルガノイド専用培地を用いて各CRPCオルガノイドを作成に取り組んだところ、一部樹立が認められた。作成した各オルガノイドからRNAを抽出し、array CGH・PCR・WBにより元のPDXと特徴が一致することを現在確認中である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
解析に時間を必要としている。
|
今後の研究の推進方策 |
2020年度は以下の二つに取り組んでいく。 ①樹立したオルガノイドを用いて引き続き分子細胞学的な解析をすすめ、オルガノイドを用いた応用実験へ取り組んでいく。 ②並行して、ドラッグスクリーニングを進めていく。当研究室でアンドロゲン感受性前立腺癌細胞株LNCaPから樹立したアンドロゲン非依存性株AI-LNCaPを用いて(Inoue Mol Endocrinol 2006)、CRPCに対する一次スクリーニングとして本学が保有する化合物ライブラリによるスクリーニングを行う。我々が膀胱癌細胞株を用いて行った時と同様のプロトコールで行うことで、2500種類の化合物から50種類程度まで候補化合物が絞られると予想され、絞られた候補化合物に対して各PDX由来CRPCオルガノイドを用いて二次スクリーニングを行い、各CRPCモデルに対して抗腫瘍効果のある候補化合物を数種に絞り込む。
|