近年、不妊症のカップルが全体の10-15%と増加しており、そのうち約50%に男性側の要因が関与している。男性不妊症の70-75%は、染色体や内分泌学的・解剖学的に異常がない原因不明の特発性であり、メカニズムの全体像は明らかになっていない。 生殖補助医療(ART)の発展に伴い、精子が存在しさえすれば、その運動能や受精能の障壁は乗り越えることができる。しかし精子形成の前段階である精子幹細胞の生存・分化障害を克服する術は、現時点では存在しない。これらの克服には、幹細胞の生存や正常な減数分裂のメカニズムを解明する必要がある。そのため本研究ではまず、幹細胞の維持や精子までの分化に必要な分子を同定する。
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