研究課題/領域番号 |
19K18593
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
加藤 実 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 講師 (30711684)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 去勢感受性前立腺癌 / アンドロゲン受容体 / 薬剤抵抗性 / ドセタキセル |
研究実績の概要 |
AR依存性前立腺癌細胞株とAR非依存性前立腺癌細胞株におけるカバジタキセルの感受性を比較した。MTT assayにおけるカバジタキセルのIC50はAR依存性前立腺癌細胞株(LNCaP) < AR非依存性前立腺癌細胞株(DU145, PC3)であった。一方でエンザルタミド耐性であるAR-V7を発現したLNCaP95は親株であるLNCaPよりもカバジタキセルの感受性は低下していた。このことから、ARおよびAR-V7はタキサン系抗がん剤の感受性に一定の影響があることが示唆された。 前年度において前立腺がん細胞株に対するAR-V7の強制発現が困難であったため、すでにエンザルタミドおよびドセタキセルに対する耐性を獲得しているLNCaP95-DRに焦点を当て研究を進めることにした。 一般的なタキサン系耐性の原因であるp糖タンパクの阻害剤であるtariquidarはWestern blotでp糖タンパクの発現を低下させ、ドセタキセルの抗腫瘍効果をほぼ完全に回復させたのみならず、カバジタキセルの抗腫瘍効果を部分的に回復させた。Tariquidarの投与によりLNCaP95-DRのカバジタキセルに対するIC50は約15nMまで下がっており、親株のLNCaP95-PのTariquidarのIC50が約10nMであることから、p糖タンパクの過剰発現がカバジタキセル交叉耐性の主な原因であることが推測される。 一方でLNCaP95-DRはアンドロゲン依存性が失われているかについてもPSA-6.1 luciferase reporter assayで評価した。R1881刺激下でレポーター活性の上昇が見られ、ドセタキセルおよびカバジタキセルはARシグナルに影響がないことを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通りではないものの、去勢感受性前立腺癌におけるAR-V7とドセタキセルおよびカバジタキセルの薬剤耐性におけるクロストークの解明に繋がる研究が遂行できているため。
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今後の研究の推進方策 |
タキサン系抗がん剤の薬剤耐性とAR-V7の関連についてさらに研究を進める予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
残金が発生したため翌年度に持ち越して使用する。
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