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2019 年度 実施状況報告書

がん微小環境改善薬による腫瘍免疫活性化機序の解明

研究課題

研究課題/領域番号 19K18594
研究機関大阪市立大学

研究代表者

西出 峻治  大阪市立大学, 大学院医学研究科, 後期臨床研究医 (10803132)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2021-03-31
キーワードがん微小環境 / 腫瘍血管 / 腫瘍関連マクロファージ / PHD阻害薬
研究実績の概要

腫瘍組織内の血管は正常血管と異なり、脆弱かつ不規則に走行し血流が乏しい。それ故、腫瘍組織は低酸素・低栄養といった、がん微小環境と呼ばれる特殊な環境を形成している。この環境下に存在する腫瘍関連マクロファージは、抗炎症型となり腫瘍の増殖・転移を促進し、がん患者の生命予後を悪化させる大きな要因となっている。
申請者らはこれまでに、プロリル水酸化酵素(PHD阻害薬)を用いて腫瘍環境を改善し、腫瘍増殖を抑制することを見出した。その際に腫瘍内マクロファージにおける、がん細胞への貪食活性が上昇していることを明らかとした。しかし、PHD阻害薬により活性化したマクロファージが、抗腫瘍効果の強い細胞障害性リンパ球など、他の免疫細胞を活性化するか否かについては明らかでない。本研究では今までの研究成果を踏まえ、PHD阻害薬による腫瘍環境の改善、マクロファージの活性化が、腫瘍増殖をいかに抑制するか詳細な機序を解明することを目的としている。
本研究のように薬剤で全身性にHIFを上昇させ、がん細胞と免疫細胞の競合を包括的に検討する論文はほとんどない。本研究により、腫瘍内で貪食が活性化した腫瘍関連マクロファージによって、腫瘍増殖を抑制する詳細な機序が明らかにできれば、PHD阻害薬によるマクロファージの貪食活性を基盤とした新たな免疫療法が開拓できる。また、本研究PHD阻害薬として、慢性腎不全患者の貧血改善治療薬として近年上市されたRoxadustatなどを使用しており、本研究でRoxadustatの免疫への影響を解明することは今後Roxadustatを内服する可能性のある透析や移植患者など、腎不全患者への薬剤の影響を評価するうえで重要と考える。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

世界的なCOVID-19感染によりマウス実験が困難となっているため。

今後の研究の推進方策

現在までにPHD阻害薬としてRoxadustatを用いて腫瘍血管の正常化、腫瘍環境の改善を明らかにしてきたが今後はPHD阻害薬としてRoxadustat以外の薬剤(Daprodustat, Vadadustatなど)も用い、各々のPHD阻害薬で効果に差があるかを明らかにする。

次年度使用額が生じた理由

実験の進捗状況による影響により次年度使用額が生じた。次年度はCOVID-19感染の影響で停滞していたマウス実験を再開するため、マウス購入費などに使用する。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2020 2019

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] Prolyl-hydroxylase inhibitors reconstitute tumor blood vessels in mice.2020

    • 著者名/発表者名
      Nishide S, Uchida J, Matsunaga S, Tokudome K, Yamaguchi T, Kabei K, Moriya T, Miura K, Nakatani T, Tomita S.
    • 雑誌名

      Journal of Pharmacological Sciences

      巻: 20 ページ: 30026-30028

    • DOI

      10.1016/j.jphs.2020.02.010.

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Controlling the Phenotype of Tumor-Infiltrating Macrophages via the PHD-HIF Axis Inhibits Tumor Growth in a Mouse Model.2019

    • 著者名/発表者名
      Nishide S, Matsunaga S, Shiota M, Yamaguchi T, Kitajima S, Maekawa Y, Takeda N, Tomura M, Uchida J, Miura K, Nakatani T, Tomita S.
    • 雑誌名

      iScience

      巻: 19 ページ: 940-954

    • DOI

      10.1016/j.isci.2019.08.033.

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] Alteration the phenotype of tumor-infiltrating macrophages via the PHD-HIF axis inhibits tumor growth in mice2020

    • 著者名/発表者名
      Shunji Nishide, Shinji Matsunaga, Takehiro Yamaguchi, Norihiko Takeda, Junji Uchida, Katsuyuki Miura, Tatsuya Nakatani and Shuhei Tomita
    • 学会等名
      Hypoxia; KEYSTONE SYMPOSIA
    • 国際学会
  • [学会発表] 新規経口腎性貧血治療薬による 腫瘍への影響2020

    • 著者名/発表者名
      西出 峻治、内田潤次、島田久生、香束昌宏、壁井和也、 岩井友明、熊田憲彦、長沼俊秀、武本佳昭、仲谷達也
    • 学会等名
      第53回日本臨床腎移植学会
  • [学会発表] 新規の経口腎性貧血治療薬Roxadustatによる 免疫系への影響2019

    • 著者名/発表者名
      西出 峻治、内田 潤次、松永 慎司、島田 久生、香束 昌宏 、壁井 和也、岩井 友明、長沼 俊秀、武本 佳昭、冨田 修平、仲谷 達也
    • 学会等名
      第55回日本移植学会総会
  • [学会発表] 腎性貧血治療薬Roxadustatを用いた 新たな腫瘍免疫療法の開拓2019

    • 著者名/発表者名
      西出 峻治、内田 潤次、松永 慎司、島田 久生、香束 昌宏、壁井 和也、 岩井 友明、長沼 俊秀、武本 佳昭、冨田 修平、仲谷 達也
    • 学会等名
      第69回 日本泌尿器科学会 中部総会

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公開日: 2021-01-27  

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