研究課題/領域番号 |
19K18595
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
岩村 大径 弘前大学, 医学部附属病院, 助教 (80792332)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 全身MRI / 定量化 / 治療戦略 |
研究実績の概要 |
Whole-body MRI:WB-MRIは転移性前立腺がんの病変を正確かつリアルタイムに評価可能であるが、現時点のWB-MRIは病巣を定量化する手法が確立されておらず、所見の経時比較が困難であるため、実臨床で本来の力を発揮できていない。本研究ではWB-MRIの所見を定量化する手法を確立し、WB-MRIを用いた転移性前立腺がんの新たな治療ストラテジーを構築することを目的とした。2019年度は、既存の定量化ソフトを用いて、①転移性前立腺がんにおける全身の病変の定量化データの蓄積、②同ソフトで算出された腫瘍のボリュームや悪性度と転移性前立腺がんの予後との関連の検討、③薬物療法に対する早期の治療反応性の評価における、WB-MRIと骨シンチグラフィーの有用性の比較、を行った。その結果、定量化ソフトにより算出された腫瘍ボリュームや悪性度は、従来の骨シンチグラフィーと比較して鋭敏な治療コカ判定能や優れた予後予測能を持つことが確認された。2020年度はこれらの研究成果を学会等で発表するとともに、さらなる症例数の蓄積を行った。界面活性剤を用いた信号値の安定化については、さまざまな種類の界面活性剤を使用して撮像データを集積したものの、信号値を安定化させる最適な界面活性剤の決定には至っていない。以上より、2020年度は定量化ソフトの改良という点ではやや苦戦しているものの、WB-MRIを用いた転移性前立腺がんの新たな治療戦略確立を目指す点では順調に進捗している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
MRIの信号値を安定化させる最適な界面活性剤の同定には至っていないものの、既存の定量化ソフトでも比較的良好な病変評価能や予後予測能が確認されたため、当初の計画通り、今後は症例数をさらに蓄積し、転移性前立腺がん治療における定量化ソフトの有用性を評価、発信していく予定である。COVID-19感染の全世界的な蔓延により日常臨床が大きな影響を受けており、今後データ集積に支障をきたす場合には、すでに集積したデータを用いて研究を進めざるを得ない。
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今後の研究の推進方策 |
既存の定量化ソフトでも比較的良好な病変評価能や予後予測能が確認されていること、また界面活性剤を用いた定量化ソフトの改良についての進捗が思わしくないため、今後は既存の定量化ソフトを用いてデータを蓄積し、WB-MRIを用いた転移性前立腺癌に対する新たな治療戦略の確立を試みる。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究計画時よりも価格が上昇したMRI解析ソフトを購入した一方で、COVID-19感染蔓延よる移動制限や各種学会がWeb開催になったことで、旅費の支出が見込みよりも減少したため、差し引きで次年度使用額が生じた。次年度もこれまで通り研究を進めるが、移動制限が継続する場合は、研究遂行に必要となるWeb会議システムの導入・整備にも予算を配分する。
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