研究実績の概要 |
16週雄性SDラットをコントロール群、AI群;両側総腸骨動脈血管内皮障害(AI)+脂肪食群、AI-SW群:AI施行後下腹部に低出力衝撃波を照射した群に分配。24週齢に膀胱瘻造設、3日後に膀胱内圧測定。膀胱瘻未造設ラットの膀胱採取、分子生物学的・組織学的評価を施行。AI群ではControl群と比較して1回排尿量、排尿間隔が有意に減少。AI-SWではAI群と比較して有意に増加。膀胱血流/動脈圧比は膀胱に0, 0.5, 1.0 ml生食注入した3点でAI-SW群がAI群より高値。マイクロアレイではAI群に対してAI-SW群でsGCα1, β1が高発現。PCR・Western blottingでは、AI群に対しAI-SW群・Control群においてsGCα1, sGCβ1が有意に上昇。cGMPアッセイではAI群に対してAI-SW群で有意に上昇。LESW照射24時間後(AI施行後4週)のPCRにてAI-SW群でVEGFおよびCD31の遺伝子高発現あり。膀胱組織学的評価では、AI群の粘膜固有層においてCD31による血管密度の低下、AI-SW群では同部位の血管密度の上昇あり。粘膜固有層上層にはsGCα1・sGCβ1の発現あり。低出力衝撃波は機械刺激センサーを刺激すると考えられており、VEGFやeNOSを介してNOを活性化することが知られている。一方でNOの細胞内受容体であるsGCは虚血下で減衰し、下部尿路症状に関与すると考えられている。本研究における治療メカニズムとして、①VEGFを介した血管新生やeNOS活性に伴うsGC-cGMPの上昇により膀胱血流が上昇し、治療モデルで血流が回復し慢性虚血による過活動膀胱に進行しなかった可能性、②cGMP活性による知覚神経刺激の抑制による頻尿症状の改善の可能性が考えられた。本研究では低出力衝撃波が過活動膀胱の新たな治療選択肢となる可能性が示唆された。
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